地域密着で「広島ガールズ」育成 代打職人が情熱注ぐ女子野球の“未来づくり”

役立った1年目の留学経験「早い時期に知ったのは良かった」

 富山商から1989年ドラフト6位で広島入り。17年間の現役生活ではレギュラーに挑戦しつつ、代打の切り札としても結果を出し続けた。1軍、2軍、3軍のいずれも経験したコーチ時代。ベースボールクリニックコーチとして、現在は「カープ浅井打撃塾」や女子野球振興に携わっている。たくさんいる恩師、先輩、同期、後輩……。すべての人たちから刺激を受け、自身の野球人生にプラスしていった。入団当初は野球に対して「消極的」と言われていたのが嘘のように何事にも積極的になった。

 道具も大切にしている。浅井氏が現役時代に使っていたファーストミットは、1993年から1995年まで広島に在籍した左投げ右打ちのルイス・メディーナ外野手兼一塁手からもらったもの。「僕はそれまで外野しかやっていなかったから、ファーストミットをつくれなかったんで、メディーナにくれって言ってもらったんです。それをずっと使いました。僕が現役をやめる頃だったかな。メディーナが東京ドームに来たので、グラブを見せたら『お前、まだこれ使っているのか』って驚いていましたけどね。グラブはいまも家に置いてますよ」。

 思えばプロ1年目にアメリカ留学を経験したことも役立ったという。「例えば外野だったらボールを追いかけるのに、目を切るなってあるじゃないですか。アメリカは違いました。目を切っても早くできるんだったら、そっちの方が合理的じゃん、エラーしなかったら何でもいいじゃん、みたいな感じで教えてもらいましたからね。それがいいとは言わないけど、そういう考えもあるということを早い時期に知ったのは良かったと思います」。

 思い出はありすぎるほどある。いろんな人と出会い、そのおかげで、今も野球と関わることができている。浅井氏はこれまでのことを振り返るたびに「感謝」という言葉を何度も何度も口にした。育ててくれたカープに、大好きな野球に、まだまだ恩返しをし続ける。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

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