大谷翔平が「バットを持った」 ざわつく周囲、同僚も凝視…屋外フリーで集めた視線
屋外フリーは約1か月ぶり…モニアック「とてつもなかった」
その瞬間、ビジターのクラブハウスがざわついた。「大谷がバット持って出てきたぞ」。先輩記者からの一言で急いでグラウンドへ向かった。エンゼルス・大谷翔平投手が約1か月ぶりに屋外で行ったフリー打撃。関係者は皆カメラを構え、軽々と柵を越える打球を必死に追っていた。
23日(日本時間24日)の本拠地・レッドソックス戦前の出来事だった。大谷は4月18日(同19日)にヤンキースタジアムで行って以来の屋外での打撃練習で31スイング中18本の柵越え。右中間上段への豪快に突き刺す一打を放った際には、まだ関係者と数人のファンしかいなかった球場でもどよめきが起こった。
3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では登板日以外は打撃練習を屋外で行っていた。合流後初練習となった3月4日に、バンテリンドームの5階席に連発し、ファン、チームメート、相手選手の度肝を抜いた。しかし、ここ数年は屋外で打撃練習をすることはほとんどなかった。ダグアウトに大谷が打撃手袋を持って出たという話が広まると、記者は一斉にバタバタとグラウンドへ。いかに大谷の打撃練習が貴重なシーンかを物語っていた。
それは選手も同じだった。5月に昇格したミッキー・モニアック外野手にとって大谷の屋外での打撃練習を見るのは2度目だったという。「とてつもなかった。彼に続いて打撃練習するのは辛かった。自分が少し非力に見えたよ」と苦笑いをするしかなかった。「間違いなく普段よりは注目するよ」。モニアックが言う通り、他の選手たちも大谷の打撃を凝視しているのが印象的だった。
24日(同25日)の同カードで、大谷は3回に今季12号となる左中間へのソロを放った。試合後、フィル・ネビン監督は「感覚がよくない状態になり始めた時にあれ(屋外フリー打撃)をやると、再び集中力を取り戻すようだ」と明かした。
大谷が打撃練習を行った日の朝、MLB公式サイトが取り上げたのは、同僚のパトリック・サンドバル投手が自身のインスタグラムにアップした「大谷がお菓子を食べている写真」だった。お菓子を食べたことが記事になり、打撃練習をすれば、球場がざわめく――。大谷の一挙手一投足がいかに注目されているかを象徴する出来事だった。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)