「大人の押し付けは大反対」　元中日エースが伝授…制球力向上のための習慣づけ

元中日エース吉見一起氏「コントロールはイメージの再現」

　大人から答えを与えても成長スピードは遅くなる。子どもが自ら考えることで上手くなるという。元中日のエース、吉見一起さんが22日、野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」のオンラインイベントで講師を務め、考える力の大切さを説いた。指導者や保護者が答えを伝えたり、価値観を押し付けたりするのは簡単だが、選手の成長を妨げると指摘する。

　吉見さんは現役時代、中日のエースとして最多勝や最優秀防御率のタイトルを獲得した。引退後は、古巣のトヨタ自動車硬式野球部でテクニカルアドバイザーを務めている。選手として150キロを超える直球や三振を量産する変化球がなかった吉見さんはコントロールを磨き、“精密機械”と評されるほどだった。

　制球力を上げるために、考える習慣を欠かさなかったと振り返る。「コントロールは脳、頭でイメージしたことの再現だと思っています。考えることで制球力は向上します」。

　悩んでいる選手に指導者が答えを伝えるのは簡単だ。しかし、短期的には課題が改善しても、結果的に選手の成長が遅くなる可能性がある。吉見さんは、指導者の役割は選手にヒントを与えたり、選択肢を示したりすることだと考えている。