大熱狂の甲子園を黙らせ「すごく快感だった」 3冠王が今でも忘れられない“一発”

「阪神ファンの方々に、一瞬だけですけど黙っていただいた」

 松中氏は2004年には打率.358、44本塁打、120打点で平成唯一の3冠王を経験した。中心打者としてホークスを常勝時代に導いた中でも、「僕の中では一番最強は2003年。これだけのチーム打率を残せることはないと思いますし、今からもう出てこないくらいのメンバーが揃っていた。胸を張って、最強打線だと思います」と言い切る。

 井川氏も2003年には20勝を挙げて、沢村賞にも輝いた。それでも当時のホークス打線は「先発投手なので、どこでアウトを取るのかを考えるんですけど、穴がなかった」と威圧感は忘れられない。阪神にとっても1985年以来、18年ぶりのリーグ優勝だっただけに、大熱狂だった日本シリーズ。松中氏は井川氏から放った1本塁打に終わったが、今でも記憶に残っている1本だ。

「鮮明に覚えているというか、ビジターで打てたということ。阪神ファンの方々に、一瞬だけですけど黙っていただいた。あれだけでもすごく快感だったので。それを思い出して対戦しました。めちゃくちゃ盛り上がっているタイガースとの対戦で、どう戦おうかというのがありました。ただ自分たちの打線は最強だと、自信を持って日本シリーズに臨んでいました」

 久々に、ファンに背番号3の姿を見せることができた。「ダイハード打線」の主軸が、バットを立てる光景に酔いしれた。

(竹村岳 / Gaku Takemura)

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