ヌートバーに生きる侍の学び イチロー氏から贈られたユニホームの“納得”の行方

辞退の鈴木誠也からも大会中にアドバイス「そばにいるチームメートと思えるほど」

 大谷が去ってから4日後、カージナルスはシカゴに遠征。10日までの3連戦中にヌートバーは鈴木と心を通わせた。周知のとおり、鈴木はアリゾナのキャンプ中に左脇腹を痛めWBC出場を辞退。同じ外野手である鈴木を支えに同大会に挑む気構えでいたヌートバーは、一抹の不安を抱えて日本へ飛んだ。しかし、「そばにいるチームメートと思えるほど」に、大会中も貴重なアドバイスをもらい、チーム快進撃の一翼を担った。「人間的にとても尊敬できる人」。鈴木へのこの思いはシカゴでさらに強くなったという。

 そして、親しみを込めて「マサ」と呼ぶ吉田である。

「初めて会った時の印象は、物静かでシャイ。実際、練習中は口数も少なく淡々と準備をする姿が目立った。ところが、ホテルに戻ると彼は饒舌になる。野球はもちろん、家族や人生についても話の幅を広げた。当然、デビュー目前のメジャーについて質問も浴びせてきたよ。移動、日々の準備の仕方、ピッチャー、そして戦術……。マサの嗅覚の鋭さが問いから伝わってきた」と思い返す。

 ヌートバーは、ボストンでの初戦となった12日、レ軍の打撃練習の合間を狙って挨拶に出向いた。その際に受けた「ボールを捉える際の右肩の入り具合」は、以来、打撃のチェックポイントの一つになっている。

 WBCで掛け替えのない仲間たちと出会ったヌートバーは、日本流の、チーム全員がホテルでともにする食事が見えない結束力につながり、決起集会は互いを知る一助になっていると実感している。さらには、他人を敬う積極的な精神の側面が色濃く出ている日本社会が野球にも通じていると感じたようだ。

ヌートバーは4月にイチロー氏とも初対面「短い時間にたくさんのことを聞いた」

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