“逆輸入ルーキー”が明かす意外なメジャーの壁 ピンチ救った「ダルビッシュ・モデル」
ピッタリだった「ダルビッシュモデル」左打者用が存在する理由
救いの神は、意外なところにいた。当時カブスに在籍していたダルビッシュ有投手だ。用具メーカーのローリングスに「何とかかぶれるものを用意してほしい」と伝えると、「じゃあ同じ日本人の、ダルビッシュモデルだ」と、内部に「DARVISH」と刻印されたものが届いたのだという。
ところで、加藤豪は左打者、ダルビッシュは右打者だ。なぜ左打者用のダルビッシュモデルが存在するのだろうか。「僕も、何で左用のダルビッシュモデルがあるのかなと思って……」。のちに2021年にパドレスのキャンプでダルビッシュと出会い、直接聞いたのだという。そこで知ったのが、ダルビッシュは公式戦で左打席に立ち、安打を放ったこともあるという事実だった。
2017年のドジャース時代のことだ。2015年に手術した右肘を守るためだった。加藤豪も左打席で打っている動画を見て「信じられませんよね」と苦笑いだ。当時のパドレスでは、加藤豪とダルビッシュ、さらに韓国人のキム・ハソン内野手が米国のヘルメットが合わず、このダルビッシュモデルを使っていたのだという。
「だから、ずっとダルビッシュモデルです。もう手放せません」。その後在籍したブルージェイズ、メッツと合わせて、メジャー4球団の「ダルビッシュ・ヘルメット」が米国の自宅にあるのだという。そして日本ハムに来ても、鮮やかな水色に塗られたものが届いた。米球界での苦闘を示す逸品とともに、戦い続ける。