大暴投に騒然…失意の大学生に手を差し伸べた黒田博樹 元巨人左腕の激変した野球人生

「自分の野球人生が生かされる場所で教えて、広めていきたい」

 そして、フィリピンやインドネシアで野球振興に携わることを、自分自身の人生と重ね合わせている。

「順風満帆な野球人生だったら『野球って素晴らしい』と言って終わっていたかもしれません。病気になって、死にそうな思いもしてイップスにもなった。それでも周りの支えがあって、プロ野球選手になれました。国としてまだ恵まれていない環境が東南アジアにはあります。環境が整ったところで野球を教えることは僕じゃなくてもいい。自分の野球人生が生かされる場所で、野球を教えて、広めていきたいんです」

 2020年に一度、東南アジアの野球振興のために日本を発ったがコロナの影響で緊急帰国。あれから3年。一生懸命、自分が立ち上げたコンサルティング会社の業績を上げ、基盤ができたおかげで、もう一度夢に挑戦することができる。「この3年間で築いたクライアントがいるからこそ、野球振興にも力が注げています」とこれまでの出会いに感謝している。

 引退して10年の節目となる2024年夏。インドネシア版の“甲子園大会”開催を目指し、海を渡る。野球があったから人生が変わった。自分の人生を救ってくれた白いボールを今度は柴田氏が手渡して、明るい未来へと導いていく。

(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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