大学日本一を争う“文化”の違い 守の明大と打の青学大…あまりに違う両校の武器

明大・上田希由翔(左)と青学大・佐々木泰【写真:田中健・中戸川知世】
明大・上田希由翔(左)と青学大・佐々木泰【写真:田中健・中戸川知世】

全国大学選手権決勝…明大と青学大がリーグの誇りもかけ激突

“守”の明大か“打”の青学大か……。第72回全国大学野球選手権は、10日に神宮球場で準決勝2試合が行われ、明大が6-0で白鴎大(関甲新学生)を、青学大が5-2で富士大(北東北大学)をそれぞれ下し、決勝進出を決めた。東京六大学と東都大学の王者同士が同選手権決勝でぶつかるのは、早大と亜大が対戦した2012年大会以来、11年ぶりとなる。

 それぞれの持ち味が発揮された準決勝だったと言っていい。明大は初戦(2回戦)で日体大(首都大学)を7-0の7回コールドで下すと、準々決勝も仙台大(仙台六大学)を5-0と零封。そして、この日の準決勝も4投手の継投で白鴎大の挑戦をゼロで退けた。

 主将の上田希由翔内野手(4年)が常々「明治は守り勝つ野球」と語るように、投手陣を中心に堅く守り、細かく点を積み重ねて相手を突き放す野球を展開している。象徴的なのは犠打の精度だ。「うちは誰がやっても決められる」(田中武宏監督)と自信を持つといい、この準決勝も、4回無死一塁から5番・内海優太内野手(1年)が確実に走者を進めて先制2塁打につなげた。敗れた白鴎大の藤田慎二監督も「(明大打線は)甘い球を確実に仕留めてくるし、バントも決めてくる。守備でも相手は守り切り、自分たちは守り切れなかった」と攻守の差を認めたほどだ。

 一方で青学大の武器は、積極的な攻撃力だ。準々決勝は2回に一挙5得点のビッグイニングを作って中部学院大(東海地区大学)に7回コールド勝ち。この準決勝も3回までに4点を奪って試合の主導権を握った。初回に先制ソロを放った佐々木泰内野手(3年)は、「うちのチームは『打撃』に自信があります。初球から振っていく意識や準備をしていますし、楽しく伸び伸びやるのがモットー」と言う。安藤寧則監督も「僕の役目は、選手たちが思い切りプレーできるように後押しするだけ」と、“自主性の文化”がチームに根付いている。

 3試合連続完封を続ける明大は、エース・村田賢一投手(4年)らを温存して決勝に臨めるメリットは大きい。その投手力と堅守を、伸び伸び野球の青学打線が序盤から攻略できるか、そこが決勝戦の1つのポイントとなりそうだ。明大が勝てば2019年大会以来7度目、青学大が勝てば2005年大会以来5度目の頂点となる。

(高橋幸司 / Koji Takahashi)

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