「僕の速い球が遅くなってくる」 12年目の通算100勝、ダルビッシュ有が楽しむ“変化”
代名詞の豊富な球種を磨き続けた「1ついい球があれば…じゃない」
ここまでの11年は、豊富な球種の習得とその研磨の日々とつながっている。
「1ついい球があればずっと活躍できるかといったらそうじゃなかったり、ずっとコマンド(制球)がよければ勝てるかといったらそうじゃない。(打者との)いたちごっこが、どんどんスパンが早くなっていくというか。若いピッチャーがどんどん速い球を投げてくるし、速い球を投げるピッチャーがどんどん入ってくると、僕の速い球が遅くなってくるので。そういう面でアジャストしていくっていうのはすごく難しいですけど、でも楽しいです」
投手と打者による技術力の綱引きで、心技体そして野球知を磨き、生き残ってきた。この間、2015年に受けた右肘の靭帯修復手術から1年2カ月の空白期間があり、さらに2018年にはその右肘を痛めてシーズンのほとんどを棒に振っている。ダルビッシュは「運という要素もすごくある」と切実な言葉を添えた。
8月16日に37歳の誕生日を迎える。進化と変化の歩みを止めないダルビッシュ有には、変わらない思いがある。
「家族の存在というのは僕の中で本当に大きいので。妻をはじめ子どもたち、前妻とその子どもたちを含めずっと支えられてきて今があるので。本当に自分の力がほぼない中でそうやってもらっているので、本当に感謝しています」
誰かが言った「野球は人間性だ」――。これは真実でもある。
(木崎英夫 / Hideo Kizaki)