新井貴浩のFA流出で「右目の辺りが落ちてきた」 補償で悩み顔面麻痺に…編成部の苦労
2008年オフに石井琢朗を獲得…球団オーナーが即決
トレードでも東奔西走した。2006年は開幕直前に福地寿樹外野手と西武・青木勇人投手、シーズン中の6月には木村拓也内野手と巨人・山田真介外野手の交換トレードに関わった。「福地も木村も今のままだったら、使うところがないから(トレード先を)探そうってなった。広島で育った選手にどうにかして、よそで活躍する場を与えたいという考えだった。そのために他球団を全部見た。日頃の生活態度とか、そういうのも含めて調査して決めました」。
2008年オフは横浜・石井琢朗内野手(現DeNAチーフ打撃コーチ)の獲得にも動いた。「よく覚えています。広島で焼き肉を食べていた時にオーナーから電話があった。『石井が戦力外の可能性があるらしいけど、性格とか、どうなんだ』と聞かれたので『2軍に落ちてからは一生懸命やっています。最初はいい評判を聞きませんでしたけど、ベイスターズの関係者も、最近はすごいですよ。昔とは違いますよ。いろいろ考え方も変わってきていますよ、と言っていました』とか、いろいろ報告したら即決で獲ろうということになった。あれはオーナーの発想ですよ」。
2009年から広島でプレーした石井氏は2012年に現役引退。その後、広島コーチとしてリーグ優勝に貢献した。「選手として活躍した以上に、一番良かったのは、コーチになって、みんなをまとめたってこと。石井琢朗が丸とか、菊池とか、鈴木誠也を変えた。すごいスイングの練習をやらせたよね。試合が終わってからも、遠征中でもね。活躍していようが、ベテランだろうが、なんだろうが練習させた。彼は功労者でしょうね」。
獲得に携わった選手が活躍すれば、もちろんうれしいし、次の場所を決めて送り出した選手が新天地で活躍する姿を見るのもうれしい。「カープは人間性を見て選手を獲っていますからね。石井琢朗もそうだったし、おそらく、(2022年途中に獲得した)秋山(翔吾)もそうなんだと思う」。川端氏にとっては貴重な経験ばかり。そんな仕事を与えてくれた松田オーナーに感謝している。
(山口真司 / Shinji Yamaguchi)