“打率3割超え”の投手が野手上位に!? 阪神勢独占…2003年ファン投票で起きた「珍事」
2003年7月にマジック点灯させた阪神が球宴ファン投票を席巻
「マイナビオールスターゲーム2023」のファン投票が現在行われているが、12日時点で、セ・リーグでは11部門中9部門で阪神勢がトップを占めている。“全部門制覇”へ、虎ファンの期待は高まるばかりだが、阪神の選手たちがオールスターのファン投票1位を“ほぼ独占”したといえば、リーグ優勝を果たした20年前の2003年を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。
闘将・星野仙一監督に率いられたこの年の阪神は4月下旬に首位に立つと、そのまま独走状態をキープした。首位打者を獲得する今岡誠(真訪、現・阪神コーチ)、3年連続盗塁王に輝く赤星憲広、広島からFA移籍した金本知憲を1・2・3番に据えた「新ダイナマイト打線」が猛威を振るい、投手陣も20勝投手となるエース・井川慶が連戦連勝。前半戦終了前の7月8日には、リーグ史上最速(当時)でマジック「48」を点灯させた。
1985年以来の悲願へ、期待を膨らませたファンも呼応した。オールスターの投票では、捕手・矢野輝弘、一塁手・桧山進次郎、二塁手・今岡、三塁手のジョージ・アリアス、遊撃手・藤本敦士、外野手は金本、赤星、浜中おさむと、野手部門でトップを独占(浜中は右肩脱臼のため辞退)。先発投手部門も1位は中日・川崎憲次郎だったが、右肩故障により辞退したため井川が“トップ当選”となった。
さらに面白いのが、一塁手部門の3位に投手のトレイ・ムーアが入ったことだ。2002年にメジャーのブレーブスから阪神に加入した左腕は、この年2年連続2桁10勝を挙げて優勝に貢献しているが、バッティングでも43打数14安打5打点、打率.326のハイアベレージをマーク。先発部門では井川にかなわないが、その打撃力を惜しむファンが一塁手としてムーアを推したことで、前代未聞の“珍現象”が生まれたというわけだ。
オールスター本番では第2戦で3安打を放った金本がMVPを受賞。その勢いのままに、18年ぶりVへと突き進んだ。同じように、セ・リーグの戦いぶりもファン投票でも好調な今年のタイガース。果たして、20年前の再現となるだろうか。