セ最多勝を“独走”、巨人・戸郷が勝てるワケ 原監督も称賛…援護を受ける“投球術”
自らスクイズ決め先制点奪取「いいところに転がってくれました」
■巨人 7ー1 西武(14日・東京ドーム)
巨人の戸郷翔征投手は14日の西武戦(東京ドーム)に先発し、6回1失点にまとめて今季8勝目(1敗)。セ・リーグ最多勝争いで2位の阪神・大竹耕太郎投手、DeNA・東克樹投手に2差をつけ、頭一つ抜け出した。この日は立ち上がりに制球に苦しみ、3回までに79球を要したが、それでも最少失点にしのぎ、味方の援護を受けた4回以降に立ち直った。戸郷の“勝てる理由”が凝縮された投球だった。
芸は身を助ける。先制点は自らもぎ取った。2回1死満塁で打席に立った戸郷に、カウント1-1からスクイズ指令が下った。本塁がフォースプレーとなる難しい状況だったが、西武左腕ディートリック・エンス投手が投じた内角高めの148キロの速球を見事に、投前へ転がした。
「カットボールだと思ったら真っすぐで、その分差し込まれましたが、いいところに転がってくれました」と胸をなでおろす戸郷。原辰徳監督は「非常に速いストレートで、難しいコースでもありましたけれどね」と称え、「先発投手として打席に多く立っているというところで、しっかり決めましたね」と数多い打撃機会を成功の一因に挙げた。
ただ、マウンド上で調子はなかなか上がらず、3回には先頭のエンスに左越え二塁打され、外崎修汰内野手に中前へ同点適時打を浴びた。しかし、なおも続いた1死一、三塁のピンチで、4番デビッド・マキノン内野手をフォークで空振り三振。その後、二盗を許して2死二、三塁と追い込まれても、新鋭・長谷川信哉外野手を外角高めのスライダーで一飛に仕留め、勝ち越しを許さなかった。
原監督が「同点止まりで主導権を握らせなかったところがよかった。球数が多い中でも1点に抑えたというところに、価値があると思いますね」と最大限に評価したのも、その粘り強さだった。