ヌートバーが断言「僕に絶対欠かせない」 故障から復活へ…心支えた“精神安定剤”

フルート演奏が原点「引退後は、音楽に関係したことをしたい」

 無類の音楽好きの原点はフルートにあった。真剣な眼差しで取り組むラーズ少年の姿が浮かんできた。きっと、母・久美子さんの記憶には光を放つ我が子の一コマとして刻まれていることだろう。

 かつて松井秀喜とともにヤンキースでプレーし、今はプロのジャズ・ギタリストとして活躍するバーニー・ウィリアムズや、マネー・ボール時代真っただ中の2000年代初頭のアスレチックスでエースとして君臨し、マリナーズのイチローと名勝負を繰り広げたサイ・ヤング賞左腕、バリー・ジトらメジャー界から退いた後に音楽の世界に転身した者もいる。果たして、ヌートバーは……。顎をなで、答えはじめた。

「楽器ができないからねぇ。でもね、実は、引退後には何か音楽に関係したことをしたいなという未来像があって。僕はまだ25歳だけれど、70年代の音楽を聞くとなぜか郷愁を誘われる。音楽には不思議な力がある。そこが魅力の一つ」

 リハビリに励むラーズ・ヌートバーの心に潤いを与えているのが音楽だ。最後に、いちばん好きな曲を聞くと、迷わなかった。

「ローリング・ストーンズの『Gimme Shelter』さ!」

 産声を上げる30年も前の名曲をナンバーワン・リストに掲げるとは、なんとも“粋”である。

(「MLB公式サイト」ジョン・デントン / John Denton)

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