救援からの「挑戦」は吉と出るか 平良海馬と藤井皓哉…数字で見る先発の“適性”

ピンチでギアを入れる西武・平良

 自ら直訴して先発への挑戦を決めた平良の今季成績は、ここまで4勝2敗、防御率2.05。今季の球種別投球割合を見ると、ストレート、スライダー、カットボールに加えて、オフから習得に取り組んだツーシームとカーブを持ち球に加えたこともあり、大きな変化がみられた。剛速球が武器の投手だが、ストレートの割合は3割程度と昨季の5割程度より減少。これまで以上に変化球を巧みに使いながら打者を打ち取っていることがわかる。

 さらに注目したいのが、ピンチの場面での投球だ。先発は救援と比べると、走者を背負う回数がどうしても増加するが、その時に生きるのがリリーフ時代の経験だろう。セットアッパーや抑えとして登板を重ねてきた右腕は、状況に応じて自身の力を制御。ピンチの状況ではより一層の力を入れて、窮地を切り抜けている。

 走者状況による投球の違いを見ると、得点圏に走者がいる状況ではストレート、変化球ともに球速が2キロほどアップしている。さらにストレートの割合が、全体の29%から42%へと10ポイント以上増加する。それも踏まえると、「ピンチの場面ではリリーフ時代の平良が顔を出す」と形容してもよいだろう。長いイニングを投げ切ることを目標にする中で、ここぞの場面では救援時のような全力投球を見せる。トップクラスの「ギアチェンジ力」が、先発としての躍進に大きく結びついているのだろう。

 かつてはオリックス・山本由伸投手もリリーフから先発に転向し、エースへの階段を駆け上がった。また、ロッテ・西野勇士投手や日本ハム・鈴木健矢投手、北山亘基投手らも先発としてチームの力になっている。リリーフでの経験を糧に、先発として奮闘を続ける投手たちに、今後も注目していきたい。

(「パ・リーグ インサイト」データスタジアム編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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