“穴”をふさいで16年目の大復活 鷹の巧打者を9年ぶりタイトルに導く「大転換」

過去2年間はインコース真ん中の球を非常に苦手としていたが…

 中村晃は過去2年、インコース真ん中の球を極端に苦手としていた。2021年は1本もヒットを放てず、2022年も打率.182と苦戦。その他のコースに関しては大きな穴は見当たらないだけに、大きなネックとなっていたことは否めない。

 しかし、2023年は苦手としていたこのコースに対して打率.292と、一定の数字を記録している。また打率.350以上の数字を記録しているコースが6個も存在しており、いわゆる「ツボ」といえるゾーンが多くなっていることがわかる。

 高めのコース、外角のボールゾーン、真ん中低めと、得意とするコースは多岐にわたっている。ただし、打撃スタイルとして従来よりも積極性を増しているだけに、ど真ん中の甘い球に対する打率が.172と低いのは課題といえる。ミスショットが減ってくれば、さらなる成績の向上も期待できるということだ。

 球種で見ると、2021年はストレート、カーブ、シンカー、ツーシームに強さを発揮した一方で、シュート、フォーク、カットボール、スライダーの打率は1割台未満。昨季はシュートとカットボールの打率を向上させたものの、フォークとスライダーは引き続き苦手とした。総じて、得意な球種とそうでない球種がはっきりと分かれていた。

 ところが今季は苦手としていたフォークとスライダーに対して、いずれも打率.320以上と数字が大きく向上。また、球種別打率が最も低いチェンジアップでも打率.250と、極端に苦手とする球種が存在しない点も強みだ。より弱点の少ない打者へと進化を遂げている。

 初めて年間を通じてレギュラーを務め、最多安打のタイトルに輝いた2014年から9年。チームの黄金期を支えた巧打者の鮮やかな復活が、3年ぶりの王座奪還を狙うチームにとって、非常に大きな意義を持つものになる可能性は十分だ。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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