死球がつないだ日米の“輪” 本来はタブーも…ドラフト候補の大砲が謝罪した理由
カルペッパーに死球後、一塁で帽子を取って謝った上田希由翔
真剣勝負の中に相手への敬意が詰まっていた。8日(日本時間9日)に行われた第44回日米大学野球選手権の第2戦(米ノースカロライナ州)で、大学日本代表「侍ジャパン」の一塁手・上田希由翔内野手(明大)は、一度迷いはしたが、最後は自信をもって頭を下げた。
「こっち(米国)では死球で謝るのは良くないと聞くので迷ったんですが、死球は自分たちが悪い。こうやって謝るのも日本の野球の良さだと思うので。それを伝えるのも一つの方法だと思いました」
1-6の5回1死一塁、2番手・細野晴希投手(東洋大)がカルペッパーに死球を当てた。一塁で待っていた上田希は帽子を取って謝ると、「問題ないよ」と返ってきたと明かしてくれた。
今大会、上田希は「本来の調子とは程遠い」としながらも、第1戦では適時二塁打、この日も4回1死満塁で左犠飛を放つなど、2試合連続打点を挙げている。そんな中、意識しているのは塁上での相手選手とのコミュニケーション。「一塁を守っていて、話してくれたりするので。せっかく会えたのでいい会話ができたら」と明かす。
この日、5回途中から3番手で同姓の上田大河投手(大商大)が登板。カルペッパーから「ファミリーなのか?」と聞かれたという。「家族じゃないけど、『My best friend』って答えておきました」と笑う。日米の親交も深めていった。
カルペッパーはその後、三塁に進み、重盗を企てた際に本塁で進藤勇也捕手(上武大)と交錯し、守備妨害と認定される場面があった。進藤は倒れこんだが、その時、カルペッパーはすぐに駆けつけ、気遣っていたのも印象的だった。日本対米国、白熱した試合の中に互いのリスペクトが垣間見えた。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)