大谷翔平が「扉を開いた」 元ハム助っ人が古巣に感謝…米野球界に起きた“変化”
日米大学野球でも二刀流が活躍…元ハム助っ人ウインタース氏が語る変化
エンゼルス・大谷翔平投手は、メジャーリーグだけでなく、米国のアマチュア野球にも大きな影響を与えていた。現在、日本ハムの北米スカウトを務める元助っ人マット・ウインタース氏も米国の野球の変化を感じている。「今では米国でも『(二刀流は)実現可能なんだ』と言う風になった」と日米を知る男は嬉しそうに語る。
米ノースカロライナ州で7日(日本時間8日)から行われている第44回日米大学野球選手権。第1戦で、大学日本代表「侍ジャパン」の下村海翔投手(青学大)から右翼の森林へ飛距離440フィート(約134.1メートル)、打球速度116マイル(約186.7キロ)の強烈な打球を飛ばしたのは“二刀流”だった。フロリダ大のジャック・カグリオーン内野手は左腕として最速100マイル(約160.9キロ)を投げる。大谷のように投打でプレーすることが「最大の目標だ」と明かしてくれた。
9日(同10日)にはメジャーリーグのドラフト会議がシアトル市内のルーメン・フィールドで行われた。ジャイアンツが1巡目(全体16位)で指名したブライス・エルドリッジ投手(ジェームズマディソン高)は「Two-Way-Player」として選出。昨年9月に行われた「第30回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」で米国代表として世界一になっているがその時こう語っている。
「オオタニは野球の常識を変えている。メジャーで二刀流ができることを証明した。彼みたいになりたいよ! それが僕の夢だ! 投打で異次元の活躍がしたい。そのために練習に励んでいるよ」。まずは、第一歩を踏み出した。
大谷は「生涯に一度の選手」も…生まれた二刀流の可能性
1994年に現役を引退後、マイナーリーグのコーチ等を務め、駐米スカウトとして日米の野球を見ているウインタース氏は近年の変化を実感。大谷、そして日本ハムが世界にもたらした功績を改めて称賛する。
「これまで米国では、打つか投げるかのどちらかだった。オオタニでさえも、『彼は投げるか打つかどちらかだ』と言われていた。だがファイターズは『いや、両方やらせることができる』と言った。クリヤマサン(栗山英樹前日本ハム監督)とファイターズのフロント陣が、彼が二刀流として成功できるプランを立てたことに脱帽だ。そのおかげで今では米国でも『(二刀流は)実現可能なんだ』と言う風になっている」
大谷は今季、前半戦だけで32本塁打、7勝を挙げている。ウインタース氏も「生涯に一度しか出てこない選手」と、誰にも真似できることではないとわかっている。ただ、二刀流としての道しるべを立てたことが野球界にとっては大きな一歩。新たな可能性の詰まった未来のスターたちを、ウインタース氏は嬉しそうに見守っていた。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)