タクシー運転手が証言した吉田正尚の“知名度” 一瞬で上機嫌に…早くも愛された存在

レッドソックス・吉田正尚【写真:ロイター】
レッドソックス・吉田正尚【写真:ロイター】

「吉田正尚に会いにきた」にタクシー運転手も大興奮

 球場へ向かう車内で、ドライバーに必ず聞かれることがある。「あなたはなぜボストンに?」。そう問われると即答する。「レッドソックス、マサタカ、ヨシダ!」。その答えを聞くと、運転手の機嫌が一瞬で良くなる。レッドソックスの吉田正尚外野手が、ボストンの街に認められ出している。

 唐突にドライバーは早口になり、ハンドルの手を離して興奮気味に言葉を並べる。わかりやすいジェスチャーで「ボストンへようこそ!」「彼はよく打つよね」「ものすごい契約で日本から来たと聞いている」など、吉田について知っている情報を教えてくれる。街中を歩くと、紺色の帽子に赤い「B」が目立つ。グッズショップには背番号「7」のユニホームが大きく前に出て、購入者も増えたという。

 メジャー挑戦1年目の今季は、球宴前までに78試合に出場して、ア・リーグ3位の打率.316、10本塁打、44打点、6盗塁を記録。チームに欠かせない戦力として、順調にペナントレースを送っている。二人三脚のタッグを組む、若林慶一郎通訳らのサポートもあり、野球に打ち込んできた。グラウンドでは表情を崩すことこそ少ないが、スタジアムを出るとオリックス在籍時と変わらない笑顔だった。

 新人年の今季は球宴に選出されることなく、夢の舞台への出場は持ち越しになった。球宴期間は家族サービスに充てた。7日に3歳となった長女、1歳の次女を鍛えた腕で抱き“パパ”の顔を覗かせる。

「まだまだここから。後半戦も頑張っていかないと。1年間を通して、全てが終わったタイミングで『よかった』と言えるようにしたい。一喜一憂することなく1戦1戦、いい状態を続けるようにしていきたい」

 生きる場所が変わっても、貪欲に夢を追い続ける。「日本から、吉田正尚に会いにきた」。運転手にそう伝える瞬間、こちらも胸を張らせてもらえる。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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