エ軍GMは敵軍首脳と電撃会談 去就騒動は過熱…大谷翔平の起死回生33号が呼んだ劇勝

9回に33号ソロを放ったエンゼルス・大谷翔平【写真:ロイター】
9回に33号ソロを放ったエンゼルス・大谷翔平【写真:ロイター】

3点差の9回に中越え33号で口火、同僚ウォード「煙が見えた」

■エンゼルス 13ー12 アストロズ(日本時間16日・アナハイム)

 エンゼルスの大谷翔平投手は15日(日本時間16日)、本拠地・アストロズ戦に「2番・指名打者」で先発出場し、3点差の9回に起死回生の33号ソロを放った。後半戦初アーチでメジャー通算160号に到達。5打数1安打1打点で打率.302。チームは延長10回サヨナラ勝ちし、連敗を6で止めた。

 天敵・バルデスに手こずって今季最多タイ3三振。敗色濃厚の一戦をフルスイングで吹っ飛ばした。9回先頭、守護神プレスリーの甘く入ったスライダーを中越えへ。ウォードが「煙が見えた」と証言する一撃で、エンゼルス打線と沈黙していた本拠地ファンを蘇らせた。延長10回に敵失の間にサヨナラ勝ち。両軍合わせて31安打25得点の乱打戦を制した。

 後半戦初戦だった前夜は6回途中5失点で5敗目。取材終了後、ロッカールームの椅子に座り、水原一平通訳らと携帯に集中した。右肘のアイシングを終えても関係ない。侍ジャパンの一員だった巨人・大城はWBC期間中に学んだことについて「気持ちの切り替え」と語っていたが、この超速の切り替え。崖っぷちからの一発につながったと言っても過言ではない。

 エンゼル・スタジアムには“きな臭い空気”が充満していた。試合前には大谷の去就に関するフェイクニュースが話題に。「速報:エンゼルスのオーナー、アート・モレノは今週末にショウヘイ・オオタニと面談し、球団との将来について話し合う予定だ。延長交渉がまとまらない場合、早ければ数週間以内にオオタニが移籍する可能性が高い」。実に巧妙な書き方に内容。ヨーロッパの他競技では移籍情報に関する虚偽報道が多いと聞いたことがあるが、ついに大谷まで……。それだけ世間の関心事ということだろう。

 試合中には、大谷の去就の鍵を握るペリー・ミナシアンGMがアストロズ首脳のいる部屋を訪問。ここ数日は報道陣の前に姿を見せなかったミナシアンGMだが、ダナ・ブラウンGMと神妙な面持ちで30分近く話し込んでいた。アストロズのマイナー組織はエンゼルスと同じように充実しておらず、アストロズへの電撃移籍の実現性は低いと言えるが……。メディアを騒然とさせる電撃会談だった。

 ノーガードの打ち合いを制しても1勝は1勝。ワイルドカード進出圏内まで5ゲーム差と厳しい現実がある。16日(同17日)の本拠地・アストロズ戦は全米中継される注目の一戦。この日は試合終了25分後、白いTシャツとハーフパンツ、ビーチサンダルとラフな格好で帰路についた。地道に1つ1つ勝ち星を積み重ねていきたい。

(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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