改めて感じたピッチクロックの効果 元オリ右腕が出会った「No.1球場グルメ」
鈴木優の留学便り
オリックスと巨人で投手としてプレーし、昨季限りで現役を退いた鈴木優さんは現在、米国に約2年の予定で留学中だ。現地で感じた“ベースボール事情”を、不定期でレポート。第4回の今回は、サンフランシスコ・ジャイアンツの本拠地「オラクル・パーク」を訪れた思いを語った。
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今回はエンゼルスタジアム、ドジャースタジアムに続く3つ目のMLBの球場オラクル・パークに行ってきた。
サンフランシスコ・ジャイアンツといえば自分も所属していた、読売ジャイアンツのチーム名、ユニホームのデザインの元となったチームで、日本人初のメジャーリーガー村上雅則投手(1964~1965年)、現日本ハム監督の新庄剛志外野手(2002年)、藪恵壹投手(2008年)、田中賢介内野手(2013年)、またヤクルトで現役を続ける青木宣親外野手(2015年)が在籍した。
球場のライトスタンドの後方にはサンフランシスコ湾がある。スタジアムを出てすぐ海というつくりで、こんなにも海の近くにある球場は初めてでとても驚いた。
そしてこの海に直接飛び込む場外ホームランは「スプラッシュヒット」と呼ばれ、このボールを目当てに入り江でボートやカヌーに乗り待つファンがいるというのがこの球場の名物となっている。ライトスタンドの下の掲示板には、今までのジャイアンツの選手が打った合計本数が表示されており、この日は幸いなことに101本目のホームランを見ることができた。
そしてもうひとつの大きな特徴としてはレフトスタンド後方に大きなグローブとコカコーラの瓶の形をしたモニュメントがあるところだ。コカコーラの瓶の中には遠くからではわからないが子ども用の滑り台が4つあり、試合前も試合中も長蛇の列を作っていた。
近年ではパ・リーグの球場にもキッズパークや観覧車、メリーゴーラウンドなど子どもを楽しませる仕掛けが多く施されているが、メジャーの球場はそういった子ども向け施設も球場によってさまざまなので、そんなところも見ていておもしろい。
オラクル・パークで自分的No.1球場グルメに出合う
オラクル・パークのグルメは「ガーリックフライ」と「クレイジークラブ」という蟹が挟んであるサンドウィッチが有名だ。このふたつを食べてみたが、クレイジークラブはサクサクのパン生地の中に蟹がたくさん詰められていて最高の食感を楽しめる。今までの球場グルメの中で1番おいしい! 暫定No.1だ。
サンフランシスコは海に面していることもあり海鮮が有名で、地の利を生かしたご当地グルメはとてもおいしかった。今まで見たふたつの球場では普通のホットドッグ、ピザやハンバーガーといったメニューが多かったが、この球場のグルメはメニューが充実しているように感じた。
この日のジャイアンツの対戦相手はシカゴ・カブスで、鈴木誠也外野手が在籍している。僕と同じ東京都の高校出身で歳が2個上の先輩だ。プロに入ってからも僕の初勝利時に連絡をいただいたりと、人間性、実力共にずっと憧れの選手であった。
その鈴木選手がサンフランシスコに試合で来るということで、ぜひお会いしたいと思い、車で7時間かけて会いに行った。僕が見に行った日は軽いコンディション不良で試合に出ることは無く、会えないかなと思っていたが、試合後わざわざ時間をつくってくださった。
そしてジャイアンツには日本人でアシスタントコーチをされている植松泰良さんがいる。ブルペン捕手としてチームに入団し2022年から日本人初のフルタイムのMLBのコーチになった。植松さんにも挨拶をさせていただいたが、本当に優しくいろんなお話をお聞きすることができた。
この日の試合はジャイアンツが4本の本塁打を放つなど13-3でジャイアンツが勝利。両チームで16点入っても試合時間は3時間6分しかかからないという、ピッチクロックの効果をまた改めて感じさせられる試合だった。
3球場目ということで比較ができるようになってきた。これからもたくさんの球場を周り各球場の良さを書いていけたらと思う。
(「パ・リーグ インサイト」鈴木優)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)