小6で単身経験した「超田舎」生活 大ブレークの10年目外野手…“行動力”の原点

DeNA・関根大気【写真:荒川祐史】
DeNA・関根大気【写真:荒川祐史】

DeNA関根は小6時に半年間、鹿児島県への「山村留学」を経験した

 DeNAの関根大気外野手には、忘れられない“半年間”がある。小学6年時に「山村留学制度」を利用して、生まれ故郷の愛知県を離れて鹿児島県姶良郡湧水町幸田で生活。「人とのつながりとか、“縁”の大切さを知ることができたし、今の性格になっているのはこの経験もあったりするのかなとは思います。今に活きていることはめちゃくちゃあると思います」と感謝の思いを口にした。

 留学経験のあった母の提案で、関根家の3きょうだいは全員、山村留学を経験した。「冗談か本当かは分かりませんが、後々母親に聞いたら『いっぺんに3人育てるのは大変だから』と言ってましたけど(笑)。でも当時は『こういう制度があるけど行く?』と聞かれて「じゃあ行くわ』みたいな感じで、それがキッカケでした」とごく自然に鹿児島行きが決まった。

 過ごしたのは小学6年生の10月から3月の卒業まで。ちょうど腰を痛めて野球を一度辞めたタイミングだった。湧水町の人口は1万人にも満たず、近年は減少傾向にある。「超田舎ですね。家と家がめちゃくちゃ離れていました」という初めての土地。4きょうだいを育てる今川家で生活し、幸田小学校に転校した。

“今川家”はPayPayドームで試合の際には3時間かけて応援に

「半年しかいなかったですけど、卒業式で寂しくて泣きました。それくらい、その時間が小6の自分にとって有意義だったんだと思います」

 本気で叱ってくれるなど本当の子どもどのように接してくれた“里親”、時には喧嘩もしたきょうだいとは、今も家族同様の付き合いが続く。関根は母の日には道具を贈るなど思いを示し、今川家は今年もPayPayドームでの試合の際に鹿児島県から3時間ほどかけ、総出で応援に来てくれた。「可愛くて、よくお世話もしました」という当時2歳だった末っ子は高校生になった。そんな成長を喜ぶ姿もまた、本当の兄のようだ。

 夢をかなえてプロ野球選手になった1年目のオフには、幸田小に“凱旋”し歓迎を受けた。今年も幸田小に通う生徒たちからメッセージをもらうなど、あの時のつながりはいつも関根の背中を押してくれる。今も幸田には「行く」ではなく「帰る」と表現する。たった半年間とは思えないほどの濃密さだったからだろう。

 昨オフには単身、メキシコでの武者修行に挑んだ関根。その“行動力”を「海外に行くのもそうですし、外に出ることのハードルは下がっているからそこは大きいかもしれないですね」と笑う。見ず知らずの地で得た経験、そこで出会った人との縁は、プロ10年目で大ブレークを果たした28歳の“礎”となっている。

(町田利衣 / Rie Machida)

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