「本能、感性は糸井嘉男並」 コーチも驚愕…DeNA高卒育成新人・蓮に漂う“大物感”
高校通算29発の蓮に大村育成打撃コーチ「アジャストする力は天性」
背番号は3桁の「100」。まだ粗削りながら、フルスイングが目を惹く。DeNAの育成ドラフト2位・蓮内野手だ。大村巌育成打撃コーチが「型破りな子です」と笑いつつ「アジャストする力は天性のものを持っている」と舌を巻くほどの19歳は、近い将来の中軸候補として期待されている。
滋賀学園高では高校通算29本塁打をマークした。1番の魅力は長打力。大村コーチは「そこを失わないように、思い切りいけというのは言っています。思いきりと空振り、三振はつきものなので、そこは目をつむろうと。質の高い空振りならいい。(高卒)1年生は直球を打てないとダメなので」と“大きく育てる”方針を明かす。
4日現在、イースタン・リーグで48試合に出場して打率.242、1本塁打、9打点、31三振。もちろん、まだまだ発展途上だ。しかし「ちょっと変化する球に対して、高卒選手だと普通はついていけないけれど、体が柔らかいからグッといけるんです。あれは教えていないのに、天性じゃないかな。咄嗟の対応力を持ち合わせているのは凄いですよ」と大村コーチを感心させるほどの“強み”を持つ。
大村コーチと言えば、糸井嘉男氏が日本ハム時代に野手転向した際、付きっ切りで指導して球界を代表する打者に育て上げたことで知られている。若手時代の筒香嘉智の“師匠”でもあり、数々の打者に寄り添ってきた。そんな中、蓮を見ていて若き日の“超人”を思い出したのだという。
「勝負強さと長打力を兼ね備えたクラッチヒッターというイメージ」
「種類は違うんですが、本能的。フィジカルとかバッティングとかではなく、本能で動く、感性で動くという面では糸井嘉男並ですよ。集中力がないところも共通しているのかな。蓮は短時間の集中力は凄いんですが、コツコツ1つのことをやるのは大の苦手。糸井の方がもう少し頑張っていたかな(笑)」
ちなみに、大阪出身の蓮はよく喋る。同学年のドラフト1位・松尾汐恩捕手と一緒になれば、大村コーチが「本当にうるさい」と手を焼くほどにぎやかな空間が生まれる。どんなにしんどい練習後でも、ファンから声援が飛べば愛嬌を振りまくところは19歳らしい。その明るい性格で、ムードメーカーとしての役割も担うだろう。
「勝負強さと長打力を兼ね備えたクラッチヒッターというイメージです」と将来像を掲げた大村コーチは「とにかく思い切りだけは失わないように。いいところは右中間とか右方向にガーンと打てるところ。フリー打撃でバックスクリーンに入れたので、だいぶ成長しましたよ」と目を細めた。
厳しいプロの世界。高卒選手とはいえ、悠長に過ごしている暇はない。「来年が勝負。来年支配下を取れるように、ガッツリ急がないといけないよということはいつも言っています」。無限大の伸びしろを持つ蓮がどんな成長を遂げるのか、楽しみだ。
○著者プロフィール
町田利衣(まちだ・りえ)
東京都生まれ。慶大を卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。2011年から北海道総局で日本ハムを担当。2014年から東京本社スポーツ部でヤクルト、ロッテ、DeNAなどを担当。2021年10月からFull-Count編集部に所属。
(町田利衣 / Rie Machida)