正念場の巨人…原監督が語る坂本途中交代のワケ　中心選手に相次いだアクシデント

坂本は1軍復帰後、打率.382と好調だった

■阪神 7ー6 巨人（8日・東京ドーム）

　巨人は8日の阪神戦（東京ドーム）に6-7で惜敗。その結果以上に、精神的支柱の坂本勇人内野手が3回の攻撃で代打を送られ交代するなど、心配なアクシデントが相次いだ。真夏の戦いの中で、豊富な経験を持つベテラン陣が試練を迎えている。

　4万905人の観客を飲み込んだスタンドがどよめいた。5点ビハインドの3回、第2打席を迎えるはずだった坂本に、代打として中山礼都内野手が送られたからだ。中山は遊ゴロ併殺打に倒れ、4回からそのまま遊撃守備に就いた。

　坂本は右太もも裏を痛めて6月24日に出場選手登録を抹消され、1軍復帰まで1か月以上を要した経緯がある。この日は、交代直前にベンチ内で阿部慎之助ヘッド兼バッテリーコーチと厳しい表情で話し合う姿があった。原辰徳監督は「大事には至らないと思うのですが、今日に関しては（交代が）最善の策であろうというところですね」と説明。坂本は1軍復帰後、全10試合に「2番・遊撃」でスタメン出場し、打率.382（34打数13安打）の猛打を振るってきた。欠かせない選手の1人である。

　弱冠20歳でクリーンアップに定着している秋広優人内野手を筆頭に、若手も台頭している巨人にあって、34歳の坂本は「若い選手がすごく頑張っている。僕、中田（翔内野手）、丸（佳浩外野手）、梶谷（隆幸外野手）もそうですが、みんなでいいチームになってきたなと思います」と語ったことがあった。実際、若手とベテランが絶妙なバランスを取っていたのだが、ここにきて坂本より1歳下の丸も、左膝痛を訴え今月3日から抹消されているところだ。

正捕手・大城卓の側頭部付近をバットが直撃

　この日の先発投手は、丸、中田翔らと同い年のエース・菅野智之投手だった。初回に大山悠輔内野手に中前適時打、2回に中野拓夢内野手に右前適時打を浴び、3回に投手の西純矢に中前適時打を許したところで、原監督から交代を命じられ、走者を2人残して降板。結果的に2回2/3、7安打5失点となった。原監督は試合後「どうでしょう。もう皆さんに任せます、判断は」と論評を避けた。

　今季の菅野は右肘の張りで出遅れたが、6月中旬の1軍合流以降、7月8日のDeNA戦で7回無失点、今月1日のヤクルト戦で8回1失点と、さすがの投球を披露。一方、7月17日のヤクルト戦では初回に1死を取っただけで6失点KOされるなど、極端に打ち込まれる試合もあるのが気がかりだ。

　ベテラン陣が試練を迎える中、この日は正捕手の大城卓三にもアクシデント発生。6回の守備中、佐藤輝明内野手が空振りした際、スイング後のバットが右側頭部付近を直撃。ヘルメットを着用していたとはいえ、キャッチャーマスクが吹っ飛んだほどの衝撃だった。

　大城はそのまま出場を続け、その裏の打席にも立ち二ゴロに倒れたが、7回の守備からベンチに下がった。原監督は「嫌な箇所で、かなり腫れていたものですから。大事に至らないことを祈るということですね」と表情を曇らせた。

　3位DeNAとのAクラス争いが勝率1毛差、ゲーム差なしと熾烈を極める中、不測の事態が続出した巨人。こういう時こそチーム力が問われているのかもしれない。