聖地に起こる大歓声「流れが変わる」 清原勝児が感じた父・和博の“偉大”さ「感謝でした」

慶応・清原勝児【写真:中戸川知世】
慶応・清原勝児【写真:中戸川知世】

慶応が圧倒的な攻撃力を見せつけ初戦突破

 第105回全国高等学校野球選手権記念大会が11日、阪神甲子園球場で行われ、大会6日目第3試合は5年ぶり19回目の出場となる慶応(神奈川)が9-4で北陸(福井)を破り、初戦突破を果たした。7回には西武、巨人、オリックスで活躍した清原和博氏の次男・清原勝児内野手(2年)が代打で登場。結果は左飛だったが、球場は大歓声に包まれた。

 慶応は初回から1番・丸田湊斗外野手(3年)の内野安打からチャンスを作ると4番・加藤右悟外野手(2年)の左前適時打で先制。さらに続く2回には下位打線の3連打と丸田の死球で追加点を奪った。

 勢いの止まらない慶応は3、4回と続けて得点すると、5回には9番・小宅雅己投手(2年)に二塁打が飛び出すなど、2点を追加。5回まで毎回得点で9-0にリードを広げた。最終回に北陸の猛追を受けたもののリードを守り切り、9-4で勝利を収めた。

 7回には、甲子園で春夏通算最多13本塁打を放った清原和博氏の次男・勝児が代打で登場。「代打・清原」がコールされると球場は大歓声に包まれた。堂々とした構えから3球目129キロを捉え、快音を響かせた。強烈な打球はレフトライナーに。今夏初安打とはならなかったが大きな拍手が沸き起こった。清原は「感覚は良かった。すごい声援をいただいて、感謝でした。それを力に変えて打席に入れました。楽しめました」と前を向いた。

「立つだけで流れが変わる」指揮官・主将も認める存在感

 父の和博氏はPL学園時代、1年時から主砲として5季連続出場、2度の全国制覇を成し遂げた大スターだ。その息子が甲子園でプレーするとなれば、高校野球ファンからの注目度は大きくなる。

 野球ファンの脳裏に深く刻まれている父親を持つことは、想像できないほどの苦悩があるかもしれない。1人の高校生には大きすぎるほどの、期待感を背負わせてしまっているのかもしれないと、心配になるファンもいるだろう。

 それでも森林貴彦監督は「(特別な)声をかける必要がないくらい真摯に野球に取り組んでいるし、周りもそれを認めている。だから、彼だけ取材が多くて嫉妬することもない」と全幅の信頼を寄せていた。

「彼が打席に立つだけで流れ変わりますね。それだけの力がある」と主将の大村昊澄内野手(3年)も笑顔だ。指揮官からもチームメートからも認められる、球場の雰囲気を変えるほどの大きな存在感がある。

 清原自身は父親について「すごい偉大な選手で、目標としている選手」と力を込め、「いつか超えられるように」と尊敬の念を抱く。大声援とプレッシャーを力に変え、「KEIO 日本一」の目標を叶えるために進み続ける。

(木村竜也 / Tatsuya Kimura)

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