岡田阪神の完封劇はなぜ生まれた? 「個性を把握」…専門家が絶賛「リードの変化」

阪神・伊藤将司【写真:矢口亨】
阪神・伊藤将司【写真:矢口亨】

先発の伊藤将が6安打完封、打っても貴重なタイムリーを放つ

■阪神 2ー0 DeNA(20日・横浜)

 阪神は20日、横浜スタジアムで行われたDeNA戦に2-0で勝利し、優勝マジックを「26」に減らした。先発の伊藤将司は自ら適時打を放ち、今季2度目の完封で8勝目をマーク。2年ぶりにDeNAを相手に勝ち越しを決めた左腕の快投に野球評論家の新井宏昌氏は「坂本のリードが相手打線に戸惑いを与えた」と分析した。

 まさにエース級の活躍だった。伊藤将は6回までDeNA打線を2安打に封じ、二塁を踏ませない圧倒的な投球を見せた。最大のピンチは2点リードの7回。1死から連打で一、二塁のピンチを背負ったが大和を遊ゴロ併殺に仕留め無失点に抑えた。その後も走者を許すも要所を締め、最後までスコアボードに「0」を並べた。

 敵地でカード勝ち越しを決めた左腕の快投に新井氏は「この日は変化球の使い方が見事だった。チェンジアップ、ツーシームの2種類を中心とした攻め方。時折、投げるキレのある真っすぐに打者は振り遅れる場面が目立った」と語り、坂本のリード面にも注目した。

 伊藤将と坂本がバッテリーを組むのは7月16日・中日戦以来、5試合ぶり。シーズン序盤こそ坂本と組んでいたが、これまでは骨折で離脱した梅野が主戦捕手を務めていた。「以前は内角の真っすぐで突っ込んでから、外のチェンジアップで仕留めていたが、この日は最初からチェンジアップ、ツーシームを多用。これで相手打線は的を絞り込むことができなかった。梅野が悪い訳ではなく“捕手のリードの変化”が完封に繋がったのではないでしょうか」と指摘する。

前日3安打の小幡に代わって3試合ぶりに木浪をスタメン復帰「選手の個性を把握している」

 打撃でも魅せた。1点リードの4回2死三塁の場面ではバウアーが投じた154キロの直球を中前へ弾き返し、自ら貴重な追加点を奪った。当初から打撃センスの良さを買っていた新井氏は「3割打者のスイング軌道。打者としてもいけると思わせるものを持っている」と絶賛した。

 岡田監督の采配も見事だった。この日は前日3安打の小幡に代わって木浪を3試合ぶりにスタメン復帰。2回には先制のタイムリーを放った。「相手はバウアーで直球に強い木浪を起用した。岡田監督が選手の個性を把握しているからこそ。小幡にも経験を積ませながらシーズンを過ごし戦力の厚みも感じる」と目を細める。

 カード初戦の18日は代走・熊谷の二盗を巡って岡田監督が猛抗議を見せる場面もあった。「監督が勝利を目指す姿を皆に見せることは選手も意気に感じる。その後を勝ち切ったことでいい流れも出てくる」。指揮官が見せた勝利への執念はチーム全体に浸透している。

 6連戦の最後で投打に渡る活躍をみせた伊藤将。2日間リリーフ陣を休ませることに成功したことはチームにとっても大きい。ここまで8月の連敗はわずか1度だけ。大きく崩れない岡田阪神が18年ぶりの“アレ”に向け加速していく。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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