盤石投手陣の仙台育英が有利か 慶応は107年ぶりVへ“魔物”も後押し…優勝旗の行方は

慶応・森林貴彦監督(左)と仙台育英・須江航監督【写真:荒川祐史、小林靖】
慶応・森林貴彦監督(左)と仙台育英・須江航監督【写真:荒川祐史、小林靖】

選抜では延長の末に仙台育英が勝利…慶応はどこまで打線を封じられるか

 第105回全国高校野球選手権大会は23日、午後2時から阪神甲子園球場で決勝戦が行われる。連覇を目指す仙台育英(宮城)と、優勝すれば1916年以来107年ぶりとなる慶応(神奈川)が対決。昨年同様継投で勝ち上がってきた仙台育英は、初戦の浦和学院(埼玉)を始め、履正社(大阪)や花巻東(岩手)など強豪校を撃破しており、実力は申し分ない。一方の慶応も高いチーム力で、ここまで勝ち上がってきた。

 慶応は今夏、神奈川大会準決勝・東海大相模戦では打線が爆発し12-1でコールド勝ち。同決勝・横浜戦では2点ビハインドの9回に3点を奪って逆転し、2季連続の甲子園出場を決めた。準々決勝・沖縄尚学戦では、好投手の東恩納の前に5回まで無得点も、6回に6安打の猛攻で6点を奪うなど、爆発力も秘めている。

 1番打者の丸田湊斗外野手(3年)は、仙台育英の須江航監督も警戒する打者のひとり。ここまで全4試合で安打を放ち、打率.438、出塁率.526をマーク。侍ジャパンU-18にも選出された今大会屈指の好打者だ。5番に座る延末藍太内野手(3年)も打率.389と好調。8番には小技もできるキャプテンの大村昊澄内野手(3年)、2年生エースの小宅雅己投手もバッテイング好調で、準決勝・土浦日大戦では中堅の頭を越える先制適時打を放つなど、打率.444をマークしており、打線に切れ目がない。

 投げては抜群の制球力を誇る小宅が3試合に先発し、23イニングで失点はわずか2。準決勝では118球を投げて完封勝利を挙げたが、豊富な投手陣を誇る仙台育英と比べ、疲労度が心配される。決勝では、攻撃スタイル豊富な相手打線の出塁をどこまで防げるかが鍵となるだろう。捕手の渡辺憩(3年)とのコンビで、強気にインコースを攻める配球にも注目したい。

 今春の選抜でも同校と対戦しており、延長の末に2-1で惜敗。夏の県大会前の練習試合でも敗れ、決勝の舞台でリベンジを目指す。森林貴彦監督は、「選抜の仙台育英さんが基準になったおかげで、夏ここまで来ることができた。恩返しするつもりで闘いたい」と意気込む。

仙台育英は今年も層の厚い投手陣、様々な攻撃スタイルを駆使

 仙台育英は、須江航監督のもと「2度目の初優勝」を目指す。今年は、夏の頂点に立った昨年のチームとは比較することなく、新しくチームを作り上げてきた。背番号1の高橋煌稀投手(3年)と、背番号10の湯田統真投手(3年)を中心に、力のある5投手が控える。打線は、今大会11安打を放って打率.579を記録する橋本航河外野手(3年)や、2年時から4番に座る齋藤陽外野手(3年)、9番の住石孝雄内野手も.429の高打率をマークしている。

 様々な攻撃パターンも魅力だ。浦和学院戦では、湯田と高橋が9点を失ったものの、19安打19得点で打ち勝った。履正社戦では僅差の試合となったが、同点の8回にスクイズを決め、1点差で勝利。神村学園戦では相手捕手の二塁送球が不安定と見るや、計5つの盗塁を決めて効果的に加点した。臨機応変な采配と、それに応えるハイレベルな選手が揃っている。

 ここまでの戦いぶり、投手の疲労面を見ると仙台育英有利か。ただ、リベンジに燃える慶応には、満員のアルプスからの大応援も味方に付いている。森林監督も「甲子園の力を少し貸してもらって、チャンピオンチームに正々堂々と戦いを挑みたい」と、背中を押してもらうつもりだ。ビハインドの展開となっても、一打が出れば場内の雰囲気は一変するだろう。“2年連続”か“107年ぶり”か、栄冠に輝くのはどちらのチームになるだろうか。

(Full-Count編集部)

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