投手2人増「駆け引きしながら」 U18W杯悲願の初Vへ…知将・馬淵監督が描くシナリオ
「一番頭が痛いのは打順をどうするか。もう1度考え直した方がいいかな」
8月31日に台湾で開幕する「第31回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」に出場する侍ジャパンU-18代表は28日、東京ドームで大学日本代表との壮行試合に臨んだが、0-8で完敗した。馬淵史郎監督(高知・明徳義塾監督)はワールドカップ本番へ向け、打順の組み替えを示唆。その他にも悲願の大会初優勝を果たすために、様々な策を巡らしている。
U-18代表打線は、今秋のドラフト上位候補を含む大学日本代表10投手による継投の前に、3安打無四死球に抑え込まれ、三塁も踏めずに終わった。馬淵監督は「(ワールドカップ本番では)あれほどの投手があれほどの数いる国はありません」と苦笑しつつ、「一番頭が痛いのは、打順をどうするか。少し下位が弱すぎるかなとも思いました。もう1度考え直した方がいいかなというのが、正直なところ」と胸の内を明かした。
この日は、第105回全国高校野球選手権大会で優勝した神奈川・慶応の不動の1番だった丸田湊斗外野手を、「3番・中堅」で起用。捕手登録の寺地隆成(明徳義塾)を「1番・一塁」、4番には森田大翔内野手(大阪・履正社)を置いていた。
一方の投手陣は、先発して2回3安打無四死球無失点に抑えた前田悠伍投手(大阪桐蔭)の起用のタイミングがポイントになりそうだ。と言うのも、ワールドカップ本番は7イニング制(延長8回以降はタイブレーク)で、投手には105球の球数制限(対戦中の打者の打席終了までは投げられる)が設けられている。105球に達した場合は中4日、40球~104球の場合にも中1日の休養が必要になる。馬淵監督は「たとえば、前田くんの調子がいいとして、3戦目の米国戦に先発させたとすれば、105球でおそらく6回か7回まで投げ、中4日でスーパーラウンドでも投げてもらうことができる」とそろばんを弾く。
OPラウンドの上位3チームがスーパーラウンドへ進出
同じく馬淵監督が指揮を執った昨年の前回大会では、49球まで投げても翌日の連投が可能だったのだが、制限が厳しくなった。そこで指揮官は、20人のU-18代表メンバーの中で投手を2人増やして9人にし、小刻みの継投も可能にして、その分野手を削っている。
今大会は出場12チームが2つのグループに分かれて、「オープニングラウンド」を戦う。日本はチャイニーズ・タイペイ、メキシコ、豪州、パナマ、イタリアとともに「グループB」。各グループの上位3チームが「スーパーラウンド」に進出し、オープニングラウンドで別組だった3チームと戦う。各チームの順位は、スーパーラウンドの試合結果と、オープニングラウンドのうちスーパーラウンド進出チームとの対戦結果を合算して求められ、1位と2位が決勝戦、3位と4位が3位決定戦に進出するという、複雑なシステムである。
「オープニングラウンドは、負けたとしても3位以内に入ればスーパーラウンドに進めるわけで、1位で通過すればいいというものではない。どこのチームにどれくらいの力があるのかを考えながら、駆け引きしながら、悲願の(金)メダルを取りたいと思います」と馬淵監督。知将は着々と優勝のシナリオを練り上げている。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)