大谷翔平、怪我の原因は変化球の投げすぎ? エ軍解説が展望…肘の故障は「まだマシ」
2018年から大谷を見てきたグビザ氏が語る二刀流復帰について
エンゼルスの大谷翔平投手は今季、8月終了時点で打者として打率.307、44本塁打、95打点と3冠王も射程圏にとらえている。歴史的活躍の一方で、右肘の靱帯損傷が発覚し、投手としては今季絶望に。大谷をメジャー1年目から見てきた球団OBのマーク・グビザ氏は「より良い二刀流の選手として戻ってくると思います」と言葉に力を込めた。
グビザ氏は2010年からエンゼルスの地元放送局「バリースポーツ・ウエスト」で解説を務めている。今シーズンの大谷について聞くと、「2021年に満票でMVPを獲得したときよりも、現状では今年の方がいいように思います」。打者としては50本塁打以上、20盗塁以上を予想する。「誰も成し遂げたことのないシーズンになります。スポーツ史に残るシーズンになるかもしれません」と目を見張る。
打者として凄みを増す一方、投手としては大きな壁に直面。23日(日本時間24日)に右肘の靱帯損傷が発覚し、今季はもうマウンドに立つことはなくなった。7月から指のマメや腕のけいれんで何度も緊急降板する場面が見られたが、グビザ氏は投球中の異変には気づかなかったという。
「開幕後の5、6登板は彼より優れた投球をする選手はいませんでした。その後、スイーパーの制球が効かない登板が何回かありましたが、この前のタイガース戦(日本時間7月28日)では圧倒し、1安打完封をマークしました。最後の登板(同8月24日)でも、スプリットで三振を2つ奪いました。正直言って、彼が(腕に)違和感を覚えていたかどうかわかりませんでした」
自身もメジャー132勝「肘より肩の怪我の方が深刻です」
グビザ氏も現役時代は2桁勝利を7度マークするなど、通算132勝を誇る右腕だった。靱帯への負担は変化球の投げ過ぎが要因ではないかと考える。今季から多用し、魔球として相手打者から恐れられたスイーパーは、大谷の体に大きな負担になっていたとみる。
「(ボールの)縫い目に摩擦が生じ、スピンのあるボールを全力で投げると、腕、肩、そして指の間にも負担がかかります。スイーパーやスプリットなどの変化球を全力で投げているからでしょうね」
グビザ氏自身は肩を2度手術をしたが、肘の怪我の経験はないという。肩と比較すると肘の怪我は「まだマシです」とも。「車に例えると、肩はエンジンで、肘はタイヤのようなものです。なので、肘より肩の怪我の方が深刻です」。右肘内側側副靭帯再建術(通称トミー・ジョン手術)を行った場合、復帰までの時間はかかるが、肩の手術と比較しても「成功率は高い」と見通す。
大谷は2018年に1度トミー・ジョン手術を受けている。リハビリを経て、“リアル二刀流”としてシーズンを完走するまでの過程をグビザ氏は見ている。「(二刀流として)復帰できると思います。この世でショウヘイほど(野球を)リスペクトしていて、強い意思を持ち、勤勉な人はいません」。再び異次元の活躍が見られるのを心待ちにしていた。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)