絶体絶命での初登板も「ワクワク」 米国制し感情爆発、陽気な“20人目”の救世主
4番手で登板の森煌誠「ワクワクの方が大きかった」
高校日本代表「侍ジャパン」は3日、台湾(台北)で行われている「第31回 WBSC U-18 ベースボールワールドカップ」で米国に4-3で勝利した。最終回に1点差に詰め寄られ、なおも2死一、二塁のピンチ。この状況でマウンドに上がった4番手の森煌誠投手(徳島商)の胸中は「ワクワク」だった。
一打サヨナラ負けの場面も「自分で抑えてやろうと思ってマウンドに立ちました。(捕手とは)サインと状況確認だけ。あとは流れで行こうと」と自分を信じた。1球を投じる度に上がる場内のボルテージ。それでも森は冷静を保った。6球目、130キロのスプリットで2番・クリエルを空振り三振に仕留めると、渾身のガッツポーズを決めた。
マウンドで絶叫し「最高でした。自然とそうなってました。(感情が)爆発しました」と照れ笑いした。「緊迫した場面で、流れもアメリカ側に流れかけていたので、自分が三振を取って勝てたというのは大きいと思います」。握った拳に、自信をみなぎらせた。
今大会3戦目で初登板。選出された20選手で、最後の登場となった。待望の出番に「ワクワクの方が大きかったです。やっと投げられるなというところが大きかったです。(今後も)与えられた役割を果たしていきたい」と息を荒げた。
マウンドでは真剣な表情を貫くが、チームではムードメーカーぶりも発揮している。2日のパナマ戦。試合が中断され、大型ビジョンにベンチが映し出されると、率先して“変顔”を披露。仲間の緊張感を和らげた。「人見知りですけど、なじんだら結構ちょけられる(おどけるの意)。ギャップを出していこうと思って、それが良い結果になった。(キャラを)隠してました」。徳島から考えてきた作戦は成功した。
森の“魂の6球”も光り、3連勝。グループBの首位をキープし、7日に始まるスーパーラウンド進出に王手をかけた。「楽しみながらできています。アメリカに勝ったというのは大きい。しっかりと自信にして、次の試合も足元をすくわれないように頑張りたい」。侍の救世主になってみせる。
(真柴健 / Ken Mashiba)