「慶応のプリンス」が漏らした本音 主将入院で部屋に一人…感じる“相棒”の存在感

オランダ戦でヒットを放ったU18代表・丸田湊斗【写真:荒川祐史】
オランダ戦でヒットを放ったU18代表・丸田湊斗【写真:荒川祐史】

打撃不振に苦しんだ丸田「泥臭くやる」

 数日間2人で過ごした部屋に、ポッカリと穴が空いた。高校日本代表「侍ジャパン」は5日、台湾(台北)で行われている「第31回 WBSC U-18 ベースボールワールドカップ」でオランダに0-1で敗戦。チーム唯一のヒットを放った丸田湊斗外野手(慶応)は「隼翔には感謝しています」と、検査入院中の“相棒”主将の小林隼翔内野手(広陵)にメッセージを送った。

 2人はチーム宿舎で同部屋だが、小林は検査入院のため3日間、宿舎には戻らなかった。3日の米国戦の4回に、打球を追って左翼手の橋本航河外野手(仙台育英)と激突。経過を見る必要があり、そのまま入院した。検査に問題がなければ6日午前中には退院する見込みだ。

 丸田は3日間、1人の夜を過ごした。5日オランダ戦に敗戦すると「隼翔に良い試合を見せられなかった」と唇を噛んだ。ただ、小林からもらったヒントが収穫にもなっている。「個人的に隼翔の打席を見て、参考になる部分があって。そういうのを取り入れて、今日の結果でもある。隼翔には感謝しています。(小林が)戻ってきて活躍すると思う。ただ、頼りすぎず。逆に頼ってもらえるじゃないですけど、ちゃんとチームの力になれるように」。2試合欠場した主将を思いやった。

 丸田は、オープニングラウンド5試合で13打数2安打の打率.154。夏の甲子園で躍動した「慶応のプリンス」にとって、悔しい結果だった。だが「自分が活躍しなくてもチームが勝てば、結局は自分がいることが巡り巡ってその結果につながっていると解釈しようと思った」とポジティブ思考で日々奮闘している。

「だから(自分が)打てないことを重くは受け止めていないです。なるべく、プラスに。結果は出すもんじゃなく、出るもんだと思ってやっていました。国際大会……。慣れない部分もあるんですけど、それを言い訳にしちゃいけない。日本代表として来ているので」

 主将の気持ちも背負ってグラウンドに立つ。1日に行われた初戦・スペイン戦の第2打席以来、待望の安打が丸田から飛び出した。「本当に、期待して(試合に)出してもらってるので、期待に応えられるように。泥臭く、なんだろうな……」。爽やかな表情で“本音”を吐き出した。「『慶応が綺麗な野球をしがち』と思われているかもしれないですけど、泥臭くやるので。世界一に向けて自分が与えられた役割を全うしたいです」。視線は、ベンチに掲げられた背番号1を見つめていた。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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