韓国には「パワーヒッターいない」 三振1つは意図的…前田、世界一見据えた“逆算”

韓国戦に先発した侍ジャパンU-18代表・前田悠伍【写真:荒川祐史】
韓国戦に先発した侍ジャパンU-18代表・前田悠伍【写真:荒川祐史】

12個のアウトで三振はわずかに1個だけ「当てに来るバッターが多かった」

 先を見据えたエースの投球だった。高校日本代表「侍ジャパン」は7日、台湾(台北)で行われている「第31回 WBSC U-18 ベースボールワールドカップ」のスーパーラウンド初戦で韓国に7-1で勝利した。先発した前田悠伍投手(大阪桐蔭)が4回47球1安打無失点の好投。最速145キロの直球でグイグイ押し込み、相手打線を封じ込めた。

 宿敵相手に闘志を燃やした前田だったが、マウンド上では冷静だった。初回先頭のイ・チョンホンから空振り三振を奪ったのが、12個のアウトで唯一の三振だった。「(積極的に)どんどん打ってくる打線だったので、三振を取りにいくのではなくて打たせていくという感じで投げていました」。直感が生きた。

 奪った12個のアウトのうち、7個が飛球。「当てに来るバッターが多かった。どんどんフライ(アウト)を取ろうと思ってマウンドに上がっていました」。“省エネ投球”を心掛けたのは、チームを悲願の世界一に導くためだった。球数47球で降板し、大会規定により、中1日での登板が可能。8日のプエルトリコ戦では登板できないが、9日の台湾戦、決勝が行われる10日に備えることができる。

 試合後、エース左腕は真剣な眼差しで口にした。「三振だと球数が増えてしまう。それよりは打たせて取った方がいいかなと。(韓国打線は)力があるというか、パワーヒッターがいないという印象だった。ストレートでどんどん押して、フライアウトも多く取れましたし、インコースを突いて詰まらせたりする投球ができた」。力でねじ伏せたピッチングだった。

 馬淵史郎監督は「今後の球数を計算すると、2戦目に投げれば3戦目も4戦目も投げられない。今日、投げておけば、中1日か中2日で(前田が)最後に投げられる」と、計算通りの活躍に笑顔だった。

 エースの投球が光り、スーパーラウンド初戦を白星で飾った。前田は「今日、勝てたことは大きいですし、チームにも勢いがつくと思う。自分はまた投げる機会があると思う。そこでもチームを勝たせる投球をしたい。0点に抑えたら負けることはないので、意識していきたい」。今大会2登板で計9回2/3を無失点。絶対的存在として、君臨する。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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