開幕戦アーチでも「差を痛感」 慶大の“強打の捕手”がプロ志望届を出さない理由

3回にソロを放った慶大・宮崎恭輔【写真:小林靖】
3回にソロを放った慶大・宮崎恭輔【写真:小林靖】

慶大の捕手・宮崎は立大との開幕戦で2安打2打点の活躍

 東京六大学秋季リーグが9日に開幕し、慶大は立大1回戦に3-2で競り勝った。侍ジャパン大学代表にも名を連ねる宮崎恭輔捕手(4年)が初回に先制適時打、3回に逆方向の右翼席へソロ本塁打を放ち、4打数2安打2打点の活躍。進境著しい“強打の捕手”だが、今年はプロ志望届を提出せず、社会人で2年後のプロ入りを目指す意向を示している。

 初回1死満塁の絶好機で右打席に入った宮崎は、立大のエース・池田陽佑投手(4年)から左前へ先制タイムリー。さらに2-0で迎えた3回には、池田の外角高めの球をとらえ、右翼席へソロアーチをかけた。「逆方向へとらえた感触があったのですが、あそこまで伸びるとは思っていませんでした。入ってくれてよかった」と会心の笑みを浮かべた。

 昨年春の東大1回戦に途中出場してリーグ戦デビューを果たし、8回に迎えた初打席を決勝3ランで飾って以来、通算2本目の本塁打。今年の春には打率.327をマークし、侍ジャパン大学代表に選出され、7月に米国で行われた日米大学野球に出場した。

 もっとも、日米大学野球ではドラフト上位候補の上武大・進藤勇也捕手(4年)、関大・有馬諒捕手(4年)に次ぐ“第3捕手”扱い。試合出場は第2戦に代打で出て、そのまま右翼の守備に就き、計2打席(空振り三振と四球)に立ったのみ。それでも練習中に、最速158キロ左腕の東洋大・細野晴希投手(4年)をはじめトップクラスの球を受け、「ピッチングの考え方を慶大の投手陣と共有していますし、キャッチング面でも落ち着きが出てきたと思います」と糧にしている。

全国制覇の高校に続け「“慶応の年”にしたい」

 同学年の進藤にも積極的にアドバイスを求めたそうで、「僕らの代では頭ひとつ抜けているレベルのキャッチャーだと思うので、キャッチング、ショートバウンドの処理、スローイングなど、技術的なことをたくさん教えてもらいました」と宮崎は明かす。現時点では進藤との差を痛感しており、「(社会人での2年間で)プロですぐに通用するレベルまでいきたいと思っています」と現実的なルートを描く。もちろん、通算2097安打を誇る名捕手・古田敦也氏(元ヤクルト)を含め、大学・社会人を経由してからプロで超一流になった例はいくらでもある。

 慶大の正捕手として、当面の目標は、3季連続優勝している明大を止めること。特にこの夏は、神奈川・慶応高が甲子園で107年ぶりの全国制覇を果たし“慶応ブーム”を巻き起こした。「僕自身は慶応高出身ではありません(東京・国学院久我山高3年の夏に甲子園出場)が、いい刺激を受けていますし、みんなが自分たちも続いて優勝しようと強く思っている。明治の4連覇を阻止し、今年を“慶応の年”にしたいです」と力強い。もう1ランク成長を遂げるための条件がそろっている。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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