宝刀の威力は佐々木朗に匹敵 鷹のブルペン支える右腕が進化…衝撃の「.100」
鷹・松本裕のフォーク被打率は.100…佐々木朗の.099に匹敵
昨季は44試合に登板し、15ホールドを挙げたソフトバンクの松本裕樹投手。今季はより重要な場面での登板が増え、現在は守護神のロベルト・オスナ投手へつなぐセットアッパーとして7回や8回を任されている。登板数やホールド数は自己最多を更新し、プロ9年目はキャリアハイのシーズンとなりつつある。今回は好成績を残している要因を探る。(数字は9月12日終了時点)
多彩な球種を操る松本裕が、打者を打ち取るのに使うのは主に直球、スライダー、フォークの3球種。中でも直球とスライダーは最高球速こそ昨季と変わらないものの、平均球速が大きく上昇した。直球は149.9キロ(昨年147.6キロ)で、150キロに迫る球を常時投げている。
球速を維持できるようになった直球は、低めへの投球割合が増している。つり球としても使われるように、高めのストレートは打者の空振りを誘いやすい。投げきればバットに当てさせない確率は上がるが、甘くなると一発を浴びるリスクも伴う。対して低めは長打にもなりにくい。実際、今季直球を捉えられた打球は、51.2%と高い割合でゴロになっており、被打率も1割台だ。
フォークはストライクゾーンからボールゾーンへの変化でスイングを誘うのが基本となるため、打者は見極める必要がある。その中で今季はボールゾーンに投じた球のうち54.7%でスイングさせるなど切れ味を発揮。奪空振り率は昨年の15.2%から24.1%にアップしており、ウイニングショットとして大きく進化を遂げている。
フォークは空振りが奪えるようになったことで打球の発生自体が減っており、被打率はリーグ4位の.100。ロッテ・佐々木朗希投手(.099)に匹敵する数値でもあり、一躍リーグ屈指のフォークの使い手になったといえるだろう。
ストレートとフォークのコンビネーションに磨きがかかったことで、投球の安定感が増した松本裕。ソフトバンクは救援陣の柱であるリバン・モイネロ投手が7月に手術を受けるなど、ブルペンの状況が苦しくなっており、セットアッパーとして結果を残す右腕の存在はとても大きい。シーズンも最終盤で、負けられない試合が続く。新たな勝利の方程式の一翼を担う松本裕に期待がかかる。
(「パ・リーグ インサイト」データスタジアム編集部)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)