大谷翔平、駆け抜けた7か月 「憧れ」をやめて掴んだ頂点…飛躍続けた二刀流の“軌跡”

エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】
エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

2月のキャンプインから9月までフル稼働…日米のファンを魅了した

 エンゼルスの大谷翔平投手は16日(日本時間17日)、右脇腹痛で15日間の負傷者リスト(IL)に入り、今季のプレーを終えた。2月中旬のスプリングトレーニングからのおよそ7か月、休みなく駆け抜けた2023年シーズンだった。日本中が歓喜したWBC優勝、進化を止めぬ二刀流での躍動……日米の野球ファンに話題を届け続けた軌跡を振り返る。

 3月のWBCに照準を合わせた始動だった。1月下旬からエンゼルスのキャンプ地、アリゾナ州テンピで調整を行い、2月15日(同16日)にキャンプインを迎えると、初日からブルペンで37球を投じた。米国での調整を終えると、3月3日に侍ジャパンに合流。6日の強化試合では、挨拶代わりの2本塁打で、日本のファンの度肝を抜いた。“大谷劇場”の始まりはここからだった。

 WBC本戦では全7試合で安打を記録するなど、打率.435、1本塁打、8打点をマークした。投手としては、1次ラウンド・中国戦、準々決勝・イタリア戦と2勝。決勝では、1点差の9回から救援して同僚トラウトを空振り三振に仕留めて、胴上げ投手となった。文句なしの活躍で大会MVPを獲得。決勝前のロッカーで「憧れるのを辞めましょう。憧れてしまったら超えられない。今日1日だけは憧れを捨てて勝つことだけを考えていきましょう」とナインを鼓舞。チームを牽引する姿に日本中が酔いしれた。

 WBC決勝から1週間足らずの3月30日(同31日)にメジャーリーグが開幕。大谷は2年連続の開幕投手を務めた。3・4月は6試合に登板して4勝0敗、防御率1.85、打者でも28試合出場して、打率.294、7本塁打、18打点、5盗塁と最高のスタートを切った。5月は勝ち星こそ1つにとどまったが、打撃では8本塁打を記録。2度目のMVP獲得へ、視界良好の序盤戦となった。

最高の6、7月を経て、試練の8月へ…

“史上最高”の1か月になったのは6月。チームの全27試合に先発出場し、104打数41安打で打率.394、15本塁打29打点。投手としては2勝2敗、防御率3.26、奪三振は37個の成績を残した。この月の15本塁打は日本選手と球団の月間最多記録となった。圧倒的な数字で自身3度目の月間MVPも受賞。これも日本選手最多記録だ。

 7月も好調を持続した。投手成績は2勝2敗、防御率4.97ながら、打者として23試合で78打数22安打の打率.282、9本塁打、14打点、OPS1.152をマーク。6月に続いて、月間MVPを受賞した。トレード期限が近づき去就に注目が集まったが、今夏は残留を選択し、エンゼルスでのポストシーズン進出を目指す終盤戦となる予定だった。

 8月も27試合で打率.316、5本塁打、OPS1.004と好調をキープ。投手としては23日(同24日)のレッズ戦で2回途中で降板した後に、右肘の内側側副靭帯の損傷が発覚して、今季を登板を終えることとなった。チームは8勝19敗で、勝率.296と悲惨な成績に。7月に大型補強を敢行も、わずか1か月で解体という厳しい結果となった。

 打者専念で迎えた9月も試練が待っていた。4日(同5日)の本拠地オリオールズ戦に「2番・DH」でスタメン予定も、試合前の打撃練習で右脇腹を痛め、急遽スタメンを外れた。これ以降、大谷の出場はなく、16日(同17日)のIL入りをもって今季のプレーが終了することとなった。

 今季の成績は、135試合に出場し、打者として打率.304、44本塁打95打点、OPS1.066。投手としては規定投球回には未達も、10勝5敗で防御率は3.14、被打率はわずか.184、奪三振数は167を記録した。投打で圧倒的な成績を残し、以降の試合を欠場してもMVPは濃厚と見られている。

 日本列島に春が訪れる前の2月中旬から、秋の気配が見える9月までの7か月をノンストップで駆け抜けた大谷翔平。近日中に行われるとみられる右肘の手術とリハビリを経て、また健康な状態でプレーする“二刀流”の姿を世界中の野球ファンが期待している。

(Full-Count編集部)

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