日本ハム・木村文紀“古巣”で引退セレモニー 妻子からの花束に涙…最終打席では二塁打
3回の守備では新庄監督の計らいで左翼へシート変更
■西武 4ー1 日本ハム(20日・ベルーナドーム)
今季限りでの現役引退を表明している日本ハム・木村文紀外野手の引退セレモニーが20日、ベルーナドームで西武戦終了後に行われた。プロ15年目の2021年シーズン途中に、西武からトレードで日本ハムへ移籍していた。今季は故障などで1軍出場がなったが、この日初めて出場選手登録され、「4番・右翼」でスタメン出場。4回の第2打席で左翼線へ二塁打を放ち、2打数1安打。かつての本拠地で最後の勇姿を見せた。
試合後のセレモニーでは、両チームの選手たちの手で胴上げされ、5度宙を舞った。その後は西武の栗山巧外野手、中村剛也内野手の西武最年長コンビ、日本ハムの森本稀哲コーチから花束を受け取った。そしてユニホームを着た妻子が登場すると、目頭を押さえ涙をこらえた。
試合では、両目の下を黒く塗り、こちらも今季1軍初昇格の西武先発・渡邉勇太朗投手と対戦。第1打席は初回2死一塁で、カウント2-2から6球目のカットボールを打つも右飛に倒れた。3回の守備では日本ハム・新庄剛志監督の粋な計らいで、西武ファンが陣取る左翼へシート変更。万雷の拍手で迎えられるシーンもあった。
クライマックスは4回1死走者なしでの第2打席。渡邉が真ん中付近へ投じた147キロ速球を左翼線付近へ打ち返し、二塁へ滑り込んだ。さらに続くアリエル・マルティネス捕手が左翼フェンスギリギリまで大飛球を放つと、西武守備陣の中継プレーが乱れたのを見逃さず、タッチアップから三塁を陥れる激走を見せた(記録は左翼のマーク・ペイトン外野手の失策)。
その裏、いったん左翼守備に就くも、先頭打者が打席に入る前に、新庄監督が今川優馬外野手への交代をコール。木村は観客の拍手、歓声に頭を下げて応えた後、まず三塁側ベンチ前に整列した西武ナイン1人1人と握手を交わし、一塁側ベンチ前では新庄監督と熱い抱擁。日本ハムナインとも握手を交わしてベンチへ下がった。
木村はプロ2006年の高校生ドラフト1位で埼玉栄高から投手として西武入りし、通算41試合(先発4試合)1勝4敗、防御率5.60の成績を残したが、12年9月から外野に転向。打者としては通算711試合1529打数326安打、打率.213、42本塁打154打点。最終打席を61本目の二塁打で飾った。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)