大谷翔平が受けたのは「ハイブリッド手術」か 手順はTJ手術と同じも…肘の権威が解説
トミー・ジョン手術と人工靱帯移植を組み合わせて患部を強化
エンゼルス大谷翔平投手の代理人を務めるネズ・バレロ氏は19日(日本時間20日)、球団を通じて大谷が同日右肘の手術を受け、成功したと発表した。執刀医は前回に続き、ロサンゼルス市内にあるカーラン・ジョーブ整形外科クリニックのニール・エラトロッシュ医師。肘靱帯再建術(トミー・ジョン手術)の第一人者でもあったフランク・ジョーブ氏の下で学び、現在は米国を代表する肘の権威とも呼ばれる人物だ。
大谷が受けた手術の術式は公表されていない。だが、米国での報道を総合すると「ハイブリッド手術が行われたのだと思います」と語るのは、日本で数多くのトミー・ジョン手術を手掛けてきた慶友整形外科病院副院長の古島弘三医師だ。
ハイブリッド手術とは、内側側副靱帯の損傷が見られる箇所に、自身の腱に加えて人工靱帯を移植する手術のこと。手術の手順としてはトミー・ジョン手術と変わらないが、人工靱帯も合わせて移植することで損傷箇所の強度が高まる効果が見込まれるという。
「今回損傷した靱帯は前回とは違う箇所だということ。今回の手術では、前回移植した靱帯のほつれなども確認して修復しながら、自分の腱と人工靱帯を移植して修復したものと考えます。ハイブリッド手術と呼ばれるのは、従来のトミー・ジョン手術と人工靱帯移植手術を組み合わせた術式だから。手術が2度目以上の場合に用いられる術式です」
リハビリの過程はトミー・ジョン手術を受けた場合と大差はなく、投手としての完全復帰は来年夏以降が見込まれる。チームが発表した声明の中でエラトロッシュ医師が期待したように、前回の手術と同様、まずは2024年に打者として戦列に戻り、二刀流としての復活は2025年以降となりそうだ。
(佐藤直子 / Naoko Sato)