広島のCS秘密兵器はドラ1左腕 2軍で躍進の23歳…“魔球”の衝撃数値は「3.27」
広島の昨年ドラ1・黒原が2軍で3か月連続防御率1点台…待たれる1軍昇格
クライマックスシリーズ進出に向け、熱い戦いを続ける広島の秘密兵器となるか。2022年ドラフト1位で入団した左腕・黒原拓未投手が2軍で無双投球を続けている。7月以降は3か月連続で防御率1点台。目を見張るのがカットボールの威力だ。(記録は21日現在)
黒原は2022年ドラフト1位で関西学院大から入団。球団OBの大野豊氏が背負った「24」を託され話題となった。1年目は1軍でリリーフとして12試合に登板し、2年目の今季はシーズン途中から先発に転向。2軍では16試合に登板し、87回2/3を投げて6勝(1敗)、78奪三振、防御率2.67と好成績を残している。
特に目を引くのが7月以降の成績だ。7月は2先発で勝ち星は付かなかったが11回を2失点(防御率1.64)。8月は3登板で2勝、20回を投げて3失点(防御率1.35)。9月もここまで3登板で1勝、20回を3失点(防御率1.35)と抜群の安定感を示している。
黒原の魅力は、左腕から繰り出す150キロに迫る力強い速球にある。ただ、速球だけではプロで通用しないのも事実。その速球を生かすのがアマチュア時代から磨いている魔球「カットボール」だ。打者の手元で鋭く曲がるカットボールは黒原の生命線の1つと言える。
セイバーメトリクスを用いて分析などを行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータによると、カットボール100球当たりの失点増減を表す「wCT/C」は「3.27」。数値がプラスになればなるほど「カットボールを投じた結果が良かった」ことを示すが、規定投球回に到達している投手の中では2軍で両リーグトップだ。1軍の両リーグトップが中日の柳裕也投手の「2.59」。2軍とはいえ、その数値の高さは目を見張るものがある。
黒原は奪三振の割合を示す「K%」も2軍で両リーグトップの「22.3」。ストレートとカットボールを軸に打者を圧倒している。1軍最後の登板となった8月27日のヤクルト戦で3回4失点。その後、2軍で自らの持ち味に磨きをかけた23歳が、現在2位につけるチームの力になれるか。2年目左腕の飛躍が期待される。
(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)
データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。