3連覇で初体験の「消化試合」が持つ意味 オリ中嶋監督が見定める“10月の伸びしろ”
今季130試合ですでに123通りのオーダー、優勝決定の翌日に7選手を抹消
平成以降ではリーグ初となる3連覇を成し遂げたオリックス。過去2年はペナントレース最終戦まで優勝を争い、歓喜の瞬間を迎えたが、今季は23日の敵地ソフトバンク戦から、直近3年で初めての“消化試合”に臨む。
すでに優勝を決め、13試合を残すが、中嶋聡監督は「今まで(試合に)後から出ていたメンバーはファームの試合に出てもらう。新しい選手が(1軍に)来た時にはどこかで使う。普通にやりますよ。もちろんです」と短期決戦への戦力を見極める“重要試合”として構える。
美酒を浴びた翌日の21日、山崎福、西野、野口、大城、山足、佐野皓、小田の7選手を登録抹消した。抹消ながらも「2軍落ち」の意味合いはなく、ファームでの試合に出場し、より実戦感覚を磨くというものだ。
チームスローガンである「全員で勝つ」の言葉通り、指揮官は「(活躍した選手の)数を上げるとキリがないです」と目を細める。「(3連覇を)目標にやってきましたし、それが実現できてよかった。ゲーム差(2位ロッテと15ゲーム差)は何も思わず、どこも強かった。苦しい戦いばかりですよ」と深呼吸した。
開幕投手にプロ初マウンドの山下「使う方は勇気だけ」
2年連続の日本一に向け、短期決戦での活躍を期待する選手を見極める。「ここにきて調子が良くなった選手もいる。絶対に日本シリーズまで行きたい。また(戦術を)考えていきたい」と話すように、2軍で鍛錬を積んだプレーヤーを23日から1軍に引き上げる算段。今季130試合終了時点で123通りの先発オーダーを組んだ“中嶋マジック”は勢いを緩めない。
今季は開幕投手にプロ初マウンドの山下舜平大投手を抜擢し、開幕スタメンには、育成ドラフト4位から支配下選手登録を勝ち取った茶野篤政外野手を起用した。「使う方は勇気だけですよ(笑)。そこで結果を残すのは選手の本当の力。選手の頑張りだと思います。頑張っているので使いたくなる。その選手が頑張って結果を残してくれているだけです」と深くうなずく。
2軍から昇格させる判断要素については「基準的なものはないです。数字があるわけでもないですし。ただ、本当に状態がいいな、とか。このタイプなら(活躍できる)とは考えますね」と明かした。今季途中から先発ローテーションに入り、6勝無敗の東晃平投手も、指揮官の起用に結果で応えてきた1人だ。
「茶野、東、(山下)舜平大にしろ、まだまだ若い。ポテンシャルを全て出し切っているわけじゃない。そう考えると、発展途上だと思います。選手のパフォーマンス的に(現状が)最高値だとは全く思わない。どんどん(能力を)上げてあげることを僕ら(首脳陣)は考えていくだけなのでね」
勝って兜の緒をしめる。短期決戦を迎えるまでの13試合でも、ニューヒーローの誕生が待ち望まれる。
(真柴健 / Ken Mashiba)