広島・堂林は「本当の意味で覚醒」 元コーチが証言、克服した“長年の課題”
9試合連続で4番に座った堂林が先制ソロを含む2安打2打点の活躍
■広島 7ー3 巨人(23日・東京ドーム)
広島は23日に行われた巨人戦(東京ドーム)に7-3で勝利し、連敗をストップした。クライマックスシリーズ(CS)進出争いを繰り広げるライバルを相手に4本塁打の一発攻勢で打ち勝った。9試合連続で4番に座った堂林翔太内野手は先制ソロ、同点適時打の2安打2打点。元コーチで野球評論家の新井宏昌氏は「今年は本当の意味で覚醒といってもいい」と太鼓判を押す。
決して代役ではない。正真正銘の4番打者だ。1点を追う2回の第1打席で巨人・菅野のスライダーを完璧に捉えると打球は右中間スタンドに飛び込む12号同点ソロ。さらに逆転された直後の4回には1死一塁から再び菅野のスライダーを弾き返し右中間へ適時打二塁打を放った。
シーズン序盤こそ代打などに甘んじていたが、7月に入ってからは打率3割をキープし勝負強い打席を見せる堂林。4番打者としてチームを牽引する姿に、新井氏は「力みのないスイングで強引さもない。元々、広角に飛ばす力を持っているが、今年は今までにない打撃を見ている。文句のつけようがない2本だった」と賛辞を送った。
新井氏は広島の打撃コーチを務めた2013年から2015年まで堂林を指導。プロ3年目で1軍デビューを果たした2012年には打率.242、14本塁打を放ち“強打の三塁手”として期待されたが、その後は成績が伸びずレギュラー定着とはならかった。
練習熱心で真面目な性格。新井氏も退団後に気にかけていた選手の一人だった。「持っているポテンシャルは素晴らしい。ただ、打席の中でどうしても払拭できない部分があった」という。右投手のカウントを取る変化球に手が出ず、追い込まれるとボール球を振って空振り三振。長年の課題を克服できず、苦しむ姿を何度も見てきた。
だが、今年はここまで95試合に出場し打率.295、12本塁打、35打点。出塁率も.344と安定した成績を残している。この日、菅野から放った2本ともファーストストライクの変化球だった。「積極的に振りにいくことで打率にも繋がっている。時間はかかったが、安定してレギュラーを獲れる位置にはいる」と新井氏。
チームは24日のヤクルト戦に勝つか、巨人がDeNAに敗れれば2018年以来、5年ぶりのクライマックスシリーズ進出が決まる。「外国人も不振で(離脱中の)西川も本来は4番タイプではない。4番に座る打者は堂林しかいない。ポストシーズンでもキーマンになる」。32歳で殻を破った堂林がカープを牽引していく。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)