堂林は“本物の4番”になるか? CS突破へ…新井監督「勝負の一手」に確かな根拠
夏場以降、調子を上げてきた堂林が14年目でプロ初の4番に
広島は今季、リーグ優勝は逃したものの5年ぶりのクライマックスシリーズ(CS)進出を決めた。主力に怪我人が相次ぐ中、存在感を放っているのが14年目の堂林翔太内野手だ。シーズン序盤は控えに甘んじていたが、オールスター明けから数字を伸ばし8月は打率.371、5本塁打を記録。9月12日のヤクルト戦(神宮)以降は4番に定着している。(成績は24日時点)
実は堂林が4番を打つのは14年目で初。開幕当初はライアン・マクブルーム内野手が起用されていたが、不振で2軍調整になると、西川龍馬外野手が定着した。ただ7月に怪我で離脱すると、4番に悩まされる試合が続いた。菊池涼介内野手や上本崇司内野手らが担うも、次々に離脱。緊急事態に陥った中、新井貴浩監督が白羽の矢を立てたのが堂林だった。
この起用は見事にはまった。4番に起用された10試合のうち8試合で安打を放ち、3本塁打を記録。23日の巨人戦(東京ドーム)では、先制ソロと同点適時打を放ち逆転勝利に大きく貢献した。ここまで95試合に出場し打率.295、チーム2位タイの12本塁打。得点圏打率も3割を超え、4番に相応しい活躍を見せている。
さらに詳しく打撃成績を見ていくと、新井監督が堂林を4番に起用した理由が見えてくる。セイバーメトリクスを用いて分析などを行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータによると、SLG(長打率).490、OPS(出塁率+長打率).828、wOBA(1打席当たりの打撃による得点貢献).361はいずれもチームトップ。同時に14年間で最も高い数値にもなっており、持ち味である長打力と勝負強さを発揮している。
三振数はチームで3番目に多い69。三振割合を示すK%は、チームで2番目に悪い25.7%を記録するなど、もちろん課題はある。ただ、23日の巨人戦でファーストストライクを振り切って本塁打と適時打を放ったように、思い切りの良い打撃は、緊迫した場面になればなるほど相手バッテリーの脅威にもなる。
今季の広島は、堂林を含めリーグトップの7人が4番を打ってきた。優勝した阪神は大山悠輔内野手が固定されていただけに、主軸を定められなかった差が阪神に独走を許した要因の1つとも言える。ただ、堂林がハマるようであれば、広島にも打線に大きな柱ができる。開幕当初は想像もできなかった「4番・堂林」の“選択肢”は、チームを加速させる確かな要素を含んでいる。
(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)
データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。