16年ぶり日本代表…田澤純一の「野球人生に大きな影響」 “運命”を変えたユニホーム

「侍ジャパン」社会人代表の練習に参加したENEOS・田澤純一【写真:編集部】
「侍ジャパン」社会人代表の練習に参加したENEOS・田澤純一【写真:編集部】

「第19回アジア競技大会」へ、侍J社会人代表は25日から直前合宿スタート

 野球日本代表「侍ジャパン」社会人代表が25日、さいたま市内で「第19回 アジア競技大会」に向けた直前合宿初日に臨んだ。中国・杭州で行われる大会は10月1日、フィリピン戦からスタート。日本は石井章夫監督の下、1994年以来となる2度目の優勝を目指す。

 8月15日から4日間行われた鹿児島合宿から1か月あまり。浦和ボールパークに集合した24選手は、それぞれ感触を確かめるかのように投球練習や打撃練習を行った。石井監督はフリー打撃で自ら打撃投手を務め、野手の状態を確かめると、ブルペンに移動。佐竹功年投手(トヨタ自動車)らに続き、田澤純一投手(ENEOS)の投球練習を視察した。

 昨冬から肩に違和感があった田澤は本格的なピッチングから遠ざかっていたが、夏場からキャッチボールを再開し、この日久しぶりにブルペンで投球練習を行った。「やっとここまで上がってきた感じ。できる範囲での最大限の準備としては順調だと思う」と木南了捕手(日本通運)を座らせ、22球を投げ込んだ。全力でのピッチングではなかったが、「まずは傾斜(に慣れること)とストライクゾーンにしっかり投げられることを確認できたらいいなと。確認しながら、少しでも試合で投げられる準備ができたらいいと思います」と話した。

 39歳の佐竹に続く年長となる37歳。メジャーをはじめ、台湾、日本の独立リーグなどで経験を積み重ねた。年下のメンバーからその経験について聞かれたり、アドバイスを求められたりすることもあるが、「甲元(訓)投手コーチもいらっしゃるので邪魔にならないように、聞かれたことに対してはしっかり答えるようにしています」。

 それ以上に大切なのは「戦力として考えている」という石井監督の気持ちに応えること。本番でどこまで投げられるか未知数ではあるが、「勝利に貢献したいと思います」「石井監督に選んでいただいたことにすごく感謝しています」という言葉に偽りはない。

「侍ジャパン」社会人代表の練習に参加したENEOS・田澤純一【写真:編集部】
「侍ジャパン」社会人代表の練習に参加したENEOS・田澤純一【写真:編集部】

「やったことがない野球をこの年齢でやっている」

 代表チームで石井監督が求めるのは「自分の価値を最大限に発揮すること」。そのためにチームとして制約を設けることなく、選手の自主性を尊重したチーム運営を行っている。企業スポーツ色が濃い社会人野球では異例の取り組みと言ってもいいだろう。

 メジャーの自由な気風を知る田澤でさえ、「見たことがない自由な環境。社会人野球はそんなに自由が利くわけではないので、その中で石井監督が求めていることはすごく面白い。アメリカとも違うし、やったことがない野球をこの年齢でやっている気がします」と好奇心をかき立てられている。

 社会人代表として「JAPAN」の文字が入ったユニホームに袖を通すのは2度目のこと。前回は2007年に開催された「第37回IBAFワールドカップ」で、ここでの活躍が関係者の目に留まり、2008年にレッドソックスとメジャー契約を結んだ。16年ぶりとなる代表入りに「ユニホームが替わっても僕がやることは同じだとは思いますけど……」と言葉を続けた。

「ただ、あの時アマチュアの日本代表になれたからこそ、アメリカに行くチャンスをもらったと思うので、そういう意味ではジャパンのユニホームが自分の野球人生にとって、結構大きな影響があるのかなと思います」

 16年前はメジャーへ続く道の扉を開けた代表という場が、今回は37歳右腕の野球人生にどんな影響を与えるのか。新たな戦いは10月1日にプレーボールを迎える。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY