9月3勝&防御率0.78…無双投球はなぜ生まれた? 阪神右腕が明かす思考の”変化”
西勇は7回2安打無失点で8勝目をマーク、17イニング連続無失点と絶好調
■阪神 2ー0 ヤクルト(26日・甲子園)
阪神は26日のヤクルト戦(甲子園)に2-0で勝利。同カードは9連勝となり球団の連勝記録を更新した。先発の西勇輝投手が7回2安打1四球無失点の快投で、今季8勝目(5敗)をマークした。9月はこれで3戦3勝、防御率0.78とエース級の活躍を見せる32歳右腕は「自分の中で投げたいボールを投げられるようになっている」と、手応えを口にする。
今シーズン最後のマウンドを完璧な内容で終えた。抜群の制球力で凡打の山を築き、6回2死までノーヒットピッチング。塩見に右前打を許しても冷静に後続を打ち取り、終わってみれば二塁を踏ませない快投だった。
自身2度目の“ノーノー”も期待されたが「ないないない。本当に。そんな簡単にできるもんじゃないから。優(岩崎)に良いバトンを渡すようにと考えていた」と淡々と語った。前回登板の12日・巨人戦(甲子園)では2安打完封。これで5日の中日戦から17イニング連続無失点と、苦しんだ前半戦が嘘のような投球内容だ。
「先発は冷静で波を作らないことが大事。それができなかったから1か月(2軍に)落ちた。この年で知れたことがデカいと思っている。だからこそ、こうやって復帰してからチームに貢献できている自分もいる。それが絶対的な自信にもなっている」
岡田監督も称賛「ほとんど低くいっていた」
オリックス時代の高卒2年目から先発ローテに定着し、今年でプロ15年目。7月はプロ入り初めて怪我以外でのファーム暮らしを経験し、ウエート、投げ込み、走り込みとチーム最年長のベテランはもがき続けた。
「これまでは投げ込み、走り込み、ウエートの追い込みもできていなかった。それよりも毎週、毎日いい状態、怪我しない、常に自分のフラットな状態でという思考でずっとやってきた。それは光栄で、幸せな悩みだったかもしれない。でも、それが1回止まって。何が足りないかを客観視することができた」
1軍に居続けたからこそ、初の2軍生活で気付けたこともあった。復帰後は5戦3勝0敗と無双状態でポストシーズンでも大きな期待がかかる。岡田監督も「前回も良かったけど、今日も本当に良かった。やっぱりコントロール。ベンチから見てもほとんど低くいっていた。連打も浴びそうじゃない。四球も出さない」と賛辞を送る。
18年ぶりのリーグ優勝を果たし、次なる舞台はクライマックスシリーズだ。シーズン終盤で存在感を放つ右腕は「この波をキープして。いい状態で自分の出番を待とうと思う」と、静かに闘志を燃やしていた。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)