33年間のアナウンス終えても…片付けなかった放送室 谷保さん願う2位「帰ってきて」

ロッテアナウンスの谷保恵美さん【写真:球団提供】
ロッテアナウンスの谷保恵美さん【写真:球団提供】

谷保恵美さんは今季限りで33年間のアナウンス担当を終える

 ロッテの場内アナウンスを今季限りで引退する谷保恵美さんが7日のオリックス戦(ZOZOマリン)で“涙のラストアナウンス”を行った。挨拶で言葉を詰まらせ、サプライズで吉井理人監督らから花束を贈られると涙をこぼした。それでも、2位でクライマックスシリーズ(CS)進出なら、アナウンスの機会が巡ってくることもあり「放送室も片付けていない。来週試合があると思ってそのままにしてあるので、帰ってきてほしいと思います」と願った。

「最後じゃないから大丈夫と思っていたんですけど、最後に『ありがとうございました』と言おうと思ったらこみあげてきちゃって。何度も言っていたんですけど、最後に泣いてしまいました。すみません」

 試合後に、まさかの一幕が待っていた。グラウンドに呼ばれた谷保さんが、驚きの表情で歩みを進める。待っていた吉井監督、中村奨吾内野手、益田直也投手から花束を贈られた。選手会長・益田の「帰ってきますから」の言葉に、「絶対に帰ってきてくださいね」と約束した。

 33年間のアナウンス生活。数々の選手の名前をコールした。球場入り口にはロッテの首脳陣や選手らだけでなく、かつて在籍した選手や、西武からも花束が届いた。「『誰のお花なんだろう』と思ってビックリしちゃって。どうやってお礼をしたらいいのか……」。誰からも愛される人柄が表れていた。

 試合中も、「谷保さんありがとう」と掲げていたのはロッテファンだけではない。オリックスファンからも感謝の思いが届いていた。そして試合後に球場中から降り注いだ「谷保コール」。「こんなことは二度と……来世もないと思うので。大事に心の中にしまいたいと思います」とお茶目に喜んだ。

 この日がちょうど、2100試合目のアナウンスだった。連続試合担当は1894試合まで伸びた。今季も、大事にしてきた“継続”をしっかりやり遂げた。「今日も無事に終わって、風邪もひかずに、それが1番よかったですし褒めてください(笑)」。マイクを置くのはまだ先になることを、信じている。

【実際の様子】試合球を贈られ「1度やってみたかった」とフォークのポーズを決める谷保さん

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