絶対的守護神に突きつけられる「38.2」 12球団“最遅”…MLB挑戦なら大幅改善必至
名球会入り条件の「250セーブ」に早くも迫る松井裕樹
楽天の松井裕樹投手は、今季39セーブを挙げて3度目のセーブ王に輝いた。プロ2年目から守護神を務め、積み上げたセーブ数は236にのぼる。特に今シーズンは四球数も激減し、絶対的な守護神として君臨した。海外FA権の資格取得条件も満たし米からの注目も集まるが、挑戦なら修正必須のポイントもある。
セイバーメトリクスの指標を用いて分析などを行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータによると、与四球割合(BB%)はプロ入り後最少の5.9%を記録した。2021年には12.2%と少し増えていたものの、昨季は9.8%とし、さらに安定感を増した。今季は昨季と比べて投球回数が少し増えたものの、四球数は減少。直近3年間では防御率1.66と抜群の成績を残している。
4月には海外FA権の資格取得条件を満たし、レギュラーシーズンを終えて松井裕について報道する米メディアもでてきた。しかし、仮にメジャー挑戦となれば、投球テンポが大きな課題だ。前の投球からの間隔を中央値で表したデータ「Tempo」を見てみると、1球1球じっくりと時間を使う松井裕は、走者がいない場合は1球あたり27.7秒を使っている。これは今季30イニング投げた投手の中で1位。さらに走者ありの場合では、38.2秒で同じく1位の長さを計測している。
メジャーでは今季から「ピッチクロック」が導入され、投手はボールを受け取ってから、走者なしでは15秒以内、走者ありでは20秒以内に投球動作に入る必要がある。松井裕はこのルールの中では、投球ペースを大幅に変えなければならない。(DELTAでは投球後から次の投球の間を計測しているため、ピッチクロックの計測と同じではない)
桐光学園高2年時に甲子園を沸かせてから、はや11年。30日で28歳となる若き左腕は、来季はどのようなピッチングを見せるのか。
(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)
データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。