オリックスvsロッテの“相性”は データで徹底分析…下剋上へ、頼もしい右打者3人

オリックス・中嶋聡監督(左)とロッテ・吉井理人監督【写真:荒川祐史、矢口亨】
オリックス・中嶋聡監督(左)とロッテ・吉井理人監督【写真:荒川祐史、矢口亨】

リーグ優勝を果たしたオリックスが、シーズン2位のロッテを迎え撃つ

「2023 パーソル クライマックスシリーズ パ ファイナルステージ」が18日から京セラドームで始まる。レギュラーシーズンを制したオリックスが、ファーストステージを勝ち上がったロッテを迎え撃つ構図となった。

 今回は、両チームの主力選手がレギュラーシーズンにおける京セラドーム大阪での公式戦で残した成績と、対戦相手とのカード別成績を紹介。ファイナルステージにおける両チームの“相性”について、各選手が残した数字をもとに探っていきたい。

 エースの山本由伸投手は京セラドームで13試合で8勝4敗、防御率1.42、奪三振率8.90と素晴らしい成績を記録。また、自身初の2桁勝利をマークした山崎福也投手は、防御率こそシーズン全体の数字(3.25)とほぼ同じながら、9試合で5勝1敗と勝率の高さが際立っている。

 後半戦に台頭した東晃平投手も5試合で2勝0敗、防御率2.25と安定感のある投球を披露。宮城大弥投手は8試合で防御率3.38と、シーズン防御率(2.27)よりも1点以上悪化しているが、総じて先発陣はホームで好投を見せていたといえる。

 リリーフ陣に目を向けると、宇田川優希投手が10ホールド、防御率1.89、奪三振率9.47と躍動。阿部翔太投手も13ホールドに加え、シーズン防御率(2.70)よりも優秀な数字を記録した。さらに、山崎颯一郎投手も12ホールド・5セーブを挙げ、奪三振率11.48と本拠地で抜群の投球内容を示している。

 野手では紅林弘太郎内野手が打率.323とシーズン打率(.275)を上回る数字を記録し、今季の首位打者・頓宮裕真捕手も打率.333、出塁率.401と大活躍。また、長距離砲の杉本裕太郎外野手とレアンドロ・セデーニョ内野手も揃ってシーズン打率を上回る数字を残した。

オリックス・宮城大弥【写真:矢口亨】
オリックス・宮城大弥【写真:矢口亨】

ロッテ戦では宮城が相性を“克服”

 山本は28イニングで失点がわずかに2という数字に加え、9月9日の試合ではノーヒットノーランを達成するなど、まさに相手打線を圧倒している。山崎福は6試合で防御率4.06とやや相性が悪いものの、東は2戦2勝、防御率2.13と好相性を示している。

 また、宮城は対ロッテの防御率が2021年は4.88、2022年が同6.62と、マリーンズ打線を大の苦手としていた。しかし、2023年は1.06と一転して圧倒的な投球を見せ、ついに天敵を克服してみせた。こうした相性の変化も、チームにとっては大きなプラスだ。

 打線では中川圭太内野手が打率.348、頓宮が打率.366とハイアベレージを記録。杉本も打率.322、4本塁打と活躍している。一方で、紅林、森友哉捕手、若月健矢捕手、宗佑磨内野手、マーウィン・ゴンザレス内野手はロッテ投手陣を苦手としている。

 シーズン最終戦とファーストステージ第3戦でともに無失点の好投を見せた小島和哉投手だが、京セラドームでは2試合で防御率7.15と打ち込まれている。また、第1戦に先発する美馬学投手とCC・メルセデス投手も防御率5点台と、先発陣に相性が悪い選手が多いのは気がかりだ。

 その一方で、西野勇士投手は1試合で8回無失点、佐々木朗希投手は3試合で防御率1.71と頼もしい。リリーフ陣では、東妻勇輔投手、坂本光士郎投手、西村天裕投手、澤村拓一投手、澤田圭佑投手が防御率0.00を記録。抑えの益田直也投手も防御率2.25と一定以上の数字を残している。

オリックスと相性の悪いロッテ投手陣

 打線では、中村奨吾内野手、グレゴリー・ポランコ外野手、安田尚憲内野手、山口航輝外野手と、多くの主力選手が低打率にあえいだ。そんな中で、荻野貴司外野手が打率.364、茶谷健太内野手が打率.353、岡大海外野手が打率.333と好成績を記録している。オリックスには宮城、山崎福と2枚の先発左腕が存在するだけに、敵地と相性の良い右打者たちが突破口を開けるかに注目だ。

 対オリックスという点で見ると、小島、メルセデスはともに防御率5点台、美馬は防御率4点台。京セラドームだけでなく、オリックス打線そのものを苦手とする先発投手が多いだけに、5試合で防御率2.23と相性の良かった種市篤暉投手の故障は大きな痛手となっている。

 西野、佐々木朗はカード別成績でも好成績を記録しているだけに、やはり両投手が先発する試合をチームの勝利に繋げられるかがポイントだ。さらに、リリーフ陣では坂本投手を除く、ほぼ全ての主力投手が一定以上の投球を見せた点も明るい材料だ。

 野手ではポランコと山口が打率1割台中盤と、本塁打が期待できる選手が揃って苦しんだ。しかし、先述した荻野、茶谷、岡の3人はオリックスとの相性そのものが良好で、藤原恭大外野手も打率.262とシーズン打率を上回る成績を残している。

 また、敵地を苦手としていた角中勝也外野手と石川慎吾外野手も、対戦打率は一定以上の水準に達している。そして、ファーストステージ第3戦で劇的な同点3ランを放った藤岡裕大内野手も、球場別・カード別ともに打率.260台と極端に苦手としているわけではない。大逆転でファイナルの切符を勝ち取った勢いそのままに、強力投手陣を打ち崩せるか。

 今回と同じ顔合わせとなった2021年のファイナルステージでは、オリックスが圧倒的な強さを見せ、最短の3試合でシリーズ突破を決めている。リーグ3連覇中の王者が今回も盤石な戦いぶりを見せるか、それともロッテが2年前のリベンジを果たすか。2023年のパ・リーグの最後を飾るシリーズは、ファンならずとも要注目の大一番となりそうだ。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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