山本由伸の初回乱調は「かなり重い」 指揮官も懸念…見られなかった“修正力”
オリックス・山本由伸投手は7回10安打5失点と本来の姿とは遠かった
■オリックス 8ー5 ロッテ(18日・京セラドーム)
悔しさを胸に秘めながら、言葉を紡いだ。オリックスの山本由伸投手は18日、ロッテとのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第1戦(京セラドーム)に先発登板し、7回5失点。打線の援護もあり、チームは8-5で勝利したが“らしさ”が見られなかった。
116球を投じ、10安打を浴びたエースは「(マウンドで)ずっと上手いこといかなかった。野手の皆さんとリリーフのおかげで勝てたので、とにかく感謝しています」と仲間に頭を下げた、
超満員の本拠地が静まり返った。初回から5安打を許して3失点。今季の防御率1.21だった右腕が立ち上がりから苦しみ「全然良いボールが行ってなかったですし、ボール球も多かった。いろいろ苦労しながらの投球になりました。(初回3失点も)初回だったので、なんとか立て直そうと。体の調子もよかったですし、ちょっとでも調子を戻せるようにと試行錯誤しながら投げました」と汗を拭った。
4回には紅林と宗が連続適時打を放つなど、味方打線の奮起もあり一時同点に追いついた。ただ、粘りきれず6回に荻野に勝ち越し打を許して唇を噛んだ。3年連続投手4冠に輝いたエースは「とにかく最少失点で抑えて。もう1点でも少なく抑えられていたら、もっと楽な展開になったのかなと思う」と反省の言葉を続けるしかなかった。
1点を離された直後の6回には杉本や紅林、中川圭に適時打などで一挙4点をあげ、逆転勝利を収めた。得点を重ねる度に球場のボルテージが上がり「すごく良い雰囲気の中で試合ができましたし、それがチームの結果につながったかなと思います」とベンチから味方の援護を見届ける山本の耳にも、3万5930人の声援が届いた。
試合後、中嶋聡監督は「やっぱり由伸が(初回に)取られた3点はかなり重い3点ですので、早いうちに1点と思っていた。(戦況を見守り)いつもの由伸ではないですし、修正能力の高い選手ですけど、なかなか今日は(状態が)戻ってこなかった」と心配そうに振り返った。
珍しく苦しんだエースを打線が援護し、CSファイナル初戦を白星で飾った。リーグ首位チームに与えられるアドバンテージの1勝を加えて2勝となり、3年連続での日本シリーズ進出まで“マジック2”とした。熱を帯びていく短期決戦。エースの復調に期待がかかる。
(真柴健 / Ken Mashiba)