阪神に欠かせぬ坂本誠志郎の信頼感 元MVP捕手が「支えになる」と力説、唯一無二の経験値

阪神・坂本誠志郎【写真:矢口亨】
阪神・坂本誠志郎【写真:矢口亨】

1982年MVPの元捕手・中尾孝義氏が阪神・坂本に注目「緩急を使うのがうまい」

 阪神は広島とのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージを突破し、28日からオリックスを相手に9年ぶりの日本シリーズに臨む。現役時代に中日、巨人、西武で捕手として活躍した野球評論家・中尾孝義氏は、坂本誠志郎捕手のリードに注目。中日時代の1982年にシーズンMVPと日本シリーズの優秀選手賞を獲得した元捕手が、坂本にとって初体験となる日本シリーズを展望した。

 坂本は今季、自己最多の84試合に出場。特に同僚の梅野隆太郎捕手が死球を左手首に受けて骨折し、8月14日に戦線を離脱して以降は、ほとんど1人でホームベースを守ってきた。広島に3連勝したCSファイナルステージもフル出場した。

「18日の第1戦に先発した村上(頌樹投手)と、19日の第2戦の伊藤(将司投手)は、いずれもレギュラーシーズンになかったほど制球が悪かった。坂本はそれを踏まえて、うまくリードしたと思います」と中尾氏は称える。投球がサイン通りにビシビシ来る時には、リードする捕手も楽しいが、対照的に投手が制球を乱し、逆球ばかりという日もある。そういう時にこそ、捕手の真価が問われるとも言える。

「制球が悪いと言っても、高低のコントロールがつかないケース、内外角に荒れているケースなど、いろいろあります」と中尾氏。「第2戦の伊藤将の場合は、高めに浮く傾向が強く出ていました。内外角は比較的に確かだったことから、坂本はホームベースの幅を広く使ったリードをしていました」と指摘する。

明大でもまれ、侍ジャパン大学代表の正捕手として活躍した経験

 その第2戦で中尾氏が目を見張ったのは、1-1の同点で迎えた6回1死二塁のピンチ。初回に先制適時打を許していた小園海斗内野手に対する配球だ。外角を攻めてカウント2-2とすると、5球目に内角の143キロの速球で詰まらせ、ボテボテの遊ゴロに仕留めた。「あの場面で内角に突っ込むのは、勇気がいります。坂本のリードもそうですが、投手が弱気になっていたら首を縦に振れるものではありません。バッテリーの気持ちが一致した場面でした」とうなずいた。

「もともと緩急を使うのがうまい」と中尾氏が評する坂本は、自身初の日本シリーズに臨むことになるが、「彼は名門の明大でもまれてきましたし、在学中に日本代表として国際経験もある。そういうキャリアが、初めての大舞台で支えになると思います」と見ている。坂本は明大3年当時の2014年7月、侍ジャパン大学代表の正捕手として「ハーレムベースボールウィーク」に出場し、米国に次ぐ2位となった。中尾氏も専大時代にアジア大会や日米大学野球、社会人野球のプリンスホテル時代に日本代表として国際大会に出場した経験が、プロ入り後の日本シリーズで落ち着きをもたらしたと言う。

 過去、阪神が日本一に輝いたのは1985年の1度だけ。当時正捕手だった木戸克彦氏は現在、球団でプロスカウト部長を務めている。坂本は球団史上2人目の“日本一捕手”になれるか。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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