オリ宮城、今も途切れぬチェコとの“絆” 勝負は紙一重…激闘振り返る数秒間の沈黙
オリックス・宮城大弥は、チェコの声援も味方につけて阪神との日本シリーズに向かう
昨日の敵を今日の友にする。オリックスの宮城大弥投手は今月中旬、海の向こうから届いたプレゼントに喜んだ。侍ジャパンの一員として世界一に輝いた3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)、1次ラウンドで対戦したチェコ代表のオンジェイ・サトリア投手から、ユニホームが送られてきたのだ。
「インスタグラムのフォローを返したら、『ユニホームが欲しいので、ください』と(ダイレクトメールで)連絡があったので、交換しようということになりました。送り方がわからなかったので、スタッフにお願いして送り届けてもらいました」
自身の侍ジャパンとオリックスのユニホームをチェコに届け、遠距離での交換に成功。もらった1着は「(京セラドームの)ロッカーに飾っています。着る機会はないと思うので(笑)」とニッコリ。戦いから半年以上が経っても“絆”は途切れない。
宮城は3月11日に東京ドームで行われたチェコ戦で、佐々木朗、宇田川からバトンを受け、3番手として登板。5回1失点の好投で、勝利の瞬間をマウンドで迎えた。チェコ打線の印象を尋ねると、数秒間の沈黙を経て言葉を紡いだ。
「試合に入るまでは緊張して何もわからなかったんですけど……。試合が終わった後に、ほとんどの選手が、消防士だったり教師だったり、他にも仕事をしていることを知って、『え?』となりました。(打席で)すごく良い対応をしていたので、この選手たちが野球だけをすることになったら……と思いましたね。他で働いている時間を省いて、野球に充てていたら(結果が)どうなっていたのかわかりませんね」。野球以外の仕事も行う選手たちに敬意を表し、プレーに専念するとなれば脅威となるとも感じている様子だ。
サトリアからはCSファイナルステージのロッテ戦(21日)で、宮城が力投するシーンもメールで送られてきた。「ナイスピッチング! と連絡が来たので、日本シリーズも見てほしいですね」と次なるステージでの応援も要請すると、関西シリーズでも阪神ファンの方が目立つことから「こっちは国際派で(笑)。チェコの方々もオリックスを応援してくれれば、うれしいなと思います」。熱戦を繰り広げた敵も味方につけるのが、宮城のスタイルだ。
(真柴健 / Ken Mashiba)