同期4人で1人だけ呼ばれず…指名漏れに決意 「自分の中で2年」あえて設定した期限

早大・熊田任洋(左)と明大・蒔田稔【写真:加治屋友輝】
早大・熊田任洋(左)と明大・蒔田稔【写真:加治屋友輝】

明大の蒔田稔は、秋季リーグで最優秀防御率のタイトルを獲得した

 東京六大学野球の秋季リーグは30日、慶大の4季ぶり通算40回目の優勝で幕を閉じた。その一方、プロ志望届を提出しながら、26日のドラフト会議で指名されなかった選手たちは、悔しさを噛みしめながら新たな一歩を踏み出す。

 明大の蒔田稔投手(4年)は今季、6試合3勝0敗、防御率0.68(26回1/3、自責点2)で最優秀防御率のタイトルを初受賞した。ラストシーズンは文句のつけようがなかったが、最後まで名前を呼ばれることはなかった。

 明大から上田希由翔内野手(ロッテ1位)、石原勇輝投手(ヤクルト3位)、村田賢一投手(ソフトバンク4位)とともに、4人でプロ志望届を提出したが、残念ながら唯一の指名漏れとなった。「球速、コントロール、変化球のどれを取っても、突出したものが見られなかった」と口にしたスカウトもいた。

 社会人野球に進み、“最短”の2年後に指名されることを目指す。「長くズルズルやっても意味はないと思っているので、あと2年、本気でやります。大学でも不調の時期から本気で取り組んで、最後にタイトルを獲れた。必ず這い上がってみせるという思いで、自分の中で2年という期限を設けて取り組みます」と誓った。

早大の熊田任洋「次はこういう勝負事に勝てるようにやっていきたい」

 一方、3拍子そろった遊撃手の早大・熊田任洋内野手(4年)は、ドラフトで指名されなかった傷心を抱えながら、28日から優勝の懸かった早慶戦に臨み、3試合で二塁打2本を含む12打数4安打と活躍した。優勝は逃したが、リーグ3位の打率.349でシーズンを終えた。

 既に熊田については早大・小宮山悟監督が、3位までに指名されなければ社会人のトヨタ自動車に進むことを各球団に伝えていたと明かし、「トヨタ自動車さんの方から『2年後プロに送り出せるように、我々も頑張ります』と言っていただいているので、本人も割り切れている部分はあると思います」と語っていた。

 熊田自身は30日の早慶戦終了後、「優勝の懸かった早慶戦は、本当に素晴らしい最高の舞台でした。負けてしまいましたが、心に刻まれる試合だったので、次はこういう勝負事に勝てるようにやっていきたいと思います」と振り返り、「自分は指名漏れとなったので、とにかく2年間鍛え直して、少しプロ入りが延びたと思って、早稲田で学んだことを生かしてやっていきたいと思います」と決意を新たにした。

 侍ジャパンを牽引した西武・源田壮亮内野手、今季セ・リーグ首位打者のDeNA・宮崎敏郎内野手、通算2000安打を達成した中日・大島洋平外野手、阪神・伊藤将司投手ら、大学から社会人を経由してプロのスター選手になった例はいくらでもある。再起を期す男たちの笑顔を、2年後に見たい。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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