阪神・岡田監督にしては「意外だった攻め」 終盤1点差で“動かなかった”犠打の選択

阪神・岡田彰布監督【写真:小林靖】
阪神・岡田彰布監督【写真:小林靖】

先取点を奪うも先発の伊藤将が5回に崩れ逆転負け、対戦成績は1勝2敗に

■オリックス 5ー4 阪神(31日・甲子園)

 阪神は31日、甲子園で行われたオリックスとの「SMBC日本シリーズ2023」第3戦を4-5で敗れ、対戦成績を1勝2敗とした。僅差の展開に持ち込みながらも惜敗した猛虎を、現役時代に日本ハム、阪神など4球団で捕手として活躍した野球評論家の野口寿浩氏は「レギュラーシーズンではあまり見られなかった“ミス”が痛かった」と分析した。

 終盤の追い上げもあと一歩届かなかった。先発の伊藤将が4回まで頓宮に浴びたソロのみ1点でまとめていたが、5回に自らの悪送球も絡み無死一、三塁から廣岡の遊ゴロ併殺崩れで勝ち越しを許す。さらに2死から宗にはシリーズ初安打となる右中間へ2点適時二塁打を許し一挙3失点。今季ワーストとなる5回5安打4失点で降板となった。

 フィールディングにも定評がある伊藤将が二塁へ悪送球した場面に野口氏は「短期決戦はミスが命取り。アウトを奪えるタイミングではあったが、あのミスが全てだった。一か八かのプレーよりも一塁へ1つアウトを奪う形でもよかった」と指摘。2死二塁としても2打席連続で抑えている中川との勝負でも十分に勝負できると見ていた。

 さらにダメ押しの2点タイムリーを浴びた宗への“攻め方”にも言及。捕手の坂本は外角中心の配球から最後は甘く入った142キロの直球を痛打された。次の打者はシリーズ好調の森。満塁で迎えたくない打者ではあった。

「四球を出したくないのは分かります。ただ、打たれてしまっては本末転倒。坂本の構えは厳しい内角ではなく、少し中途半端な位置でした。森の存在が頭にあるが絶対に打たれるわけじゃない。厳しく攻めて四球なら仕方ない。それぐらい腹のくくりが必要だったのではないでしょうか。レギュラーシーズンではもう少し内角を多く使っていたが、この日は外角に偏っていたのも気になるところです」

「目に見えないミスも勝敗に大きく関わってくる」

 攻撃面では「岡田監督としては意外だった」と思う場面もあったという。1点を追う7回1死からノイジーが中前打を放ち代走に島田を起用。スタートが切れず坂本には犠打のサインを送り2死二塁の状況を作るも木浪が三振に倒れ無得点。ポストシーズンでは走者を動かしながら好機を拡げていただけに「エンドランで来るかと思ったが、今回は確実に得点圏に進めた」とポイントを口にする。

 第1戦、第2戦は大味な展開だったが、この日は1点差の好ゲーム。ただ、阪神の持ち味は生かせなかった。6回の追加点を奪われた場面は無死一塁からブルワーがここまで打率.167のゴンザレスに四球を与えピンチを拡大。その後は犠打と若月の左犠飛で5点目を失った。バッテリーを含めた「守り勝つ野球」でレギュラーシーズンを独走し優勝したチームの姿ではないという。

「第1戦こそ完封勝利でしたが、第2戦と第3戦で計13失点。まだ、阪神としてはレギュラーシーズン本来の戦い方ができていない。目に見えないミスも勝敗に大きく関わってきます。日本シリーズは内容ではなく結果が全て。ただ、森下に当たりが出たのは大きい。4番の大山も良い打球を飛ばしているが、あとは結果が残れば流れは変わってくると思います」

 地の利を生かした甲子園では残り2試合。38年ぶりの日本一に向け、岡田阪神は本来の姿を早く取り戻したいところだ。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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